
インバウンドの受け入れ準備は、外国語のメニューやキャッシュレス決済のように、項目だけを並べると終わりが見えません。けれども、お客様がお店を知ってから、また来てくれるまでの6つの段階に分けて確かめると、どこが止まっているかがはっきりします。
この記事では、飲食店や美容室、小売店などの小さなお店が使える18項目のチェックリストをまとめました。チェックの付き方から、どこから手をつけるか、どこを外に頼むと早いかの目安もお伝えします。
インバウンドのお客様が、お店にたどり着くまでの6つの段階
インバウンドの方々は、来る前に地図やSNSでお店を見つけ、メニューや口コミで比べてから予約や来店をします。お店に着いてからは、注文と支払い、そのあとの口コミまでが一続きです。手前の段階が止まっていると、後ろの段階をいくら整えてもお客様は増えません。
観光庁が令和7年度に5つの空港で4,110人に聞いた調査では、旅行中に「困ったことはなかった」と答えた人は43.7%でした。困ったことの2位は施設のスタッフとのコミュニケーション(15.4%)で、多言語表示の少なさ・分かりにくさが5位、クレジットカードの利用が10.7%で6位です。店内での言葉と支払いは、今も旅行者がつまずきやすいところだと分かります。
受け入れ準備のチェックリスト(18項目)
各項目に、詳しい進め方を書いた記事を添えています。当てはまるものに印を付けながら読んでみてください。
| 段階 | 確かめること | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 1 来ている国を知る | 1. 予約や会計の記録から、来ている国の割合を出している | お客様の国籍の調べ方 |
| 2. 多い国の方が、旅行中に何にいくら使うかを知っている | 国別の飲食費と客単価 | |
| 2 見つけてもらう | 3. Googleビジネスプロフィールに、英語の説明・写真・営業時間が入っている | Googleマップで上位に出るには |
| 4. 来ている国の人が使う地図・アプリ・グルメサイトに載っている | インバウンドに強いグルメサイト、国別のお店の探し方 | |
| 5. 外国語のページがあり、外国語で検索したときに出てくる | インバウンド向けホームページ、英語ページが検索に出ない原因 | |
| 6. 料理や仕事の手元が分かる写真・短い動画を出している | インバウンド向けの動画の作り方 | |
| 3 選んでもらう | 7. 料理名だけでなく、中身が分かる外国語のメニューがある | 多言語メニューの作り方 |
| 8. 税込みの総額と、値段に含まれるものを書いている | 国別の飲食費と客単価 | |
| 9. 肉・魚介・アルコール・だしなど、使っている材料を書いている | ベジタリアン・ハラール対応 | |
| 10. 外国語の口コミがあり、増えていく流れがある | 外国人の口コミを増やすには | |
| 4 予約・来店 | 11. 外国語で、最後まで予約できる入口がある | 予約サイトと直接予約 |
| 12. キャンセルの決まりを、予約の前に外国語で見せている | 無断キャンセルを防ぐには | |
| 5 店内と支払い | 13. 単語と指さしで、注文から会計まで進められる | 飲食店の外国人接客、美容室の外国人接客 |
| 14. アレルギーやお通し、店内のルールを書いて見せている | 言葉だけに頼れない場面 | |
| 15. タッチ決済のカードとQRコード決済を受け、使えることを見せている | キャッシュレス決済の選び方 | |
| 16. 物を売るお店は、免税の扱いを決めている | 免税のリファンド方式 | |
| 6 口コミと再来店 | 17. 外国語の口コミにも、同じ質で返信している | 口コミ返信の決め方 |
| 18. 次の旅行でも見つけてもらえるよう、SNSのフォローや地図の保存を伝えている | インバウンド集客のSNS |
すべてに印が付いている必要はありません。大事なのは、印の付かない項目が、どの段階にいちばん多いかです。
Point項目を全部そろえるより先に、印の付かない項目がいちばん手前にある段階を見つけて、そこから整える。
チェックの付き方で見る、どこから手をつけるか

段階1と2に空欄が多いお店は、そもそもインバウンドのお客様にお店が見つかっていない状態です。メニューや決済を整えるより先に、来ている国を確かめ、地図とその国の人が使うアプリに正しい情報を載せます。ここはお金をかけずに始められるところが多い段階です。
段階3と4に空欄が多いお店は、見つけてもらえても比べたときに選ばれていないか、予約の途中で離れている可能性があります。外国語のメニューで中身と値段を見せることと、外国語で予約を最後まで進められるようにすることから手をつけます。
段階5と6に空欄が多いお店は、来てくれたお客様の満足が、口コミや次の来店につながりきっていない状態です。接客で困る場面を紙や画面で先に用意し、会計のときに口コミを頼む流れを作ります。
自分で進めるところと、外に頼むと早いところ

来ている国の数え方、Googleビジネスプロフィールの営業時間や写真、会計のときの口コミの頼み方は、お店の中で進められる項目です。毎日の仕事のなかで少しずつ整えられます。
外国語のページを検索に出すことや国ごとのアプリへの掲載、外国語で読みやすいメニューの書き方は、やり方を知っている人に頼むと早く形になる項目です。どこに頼めばいいかはインバウンド集客の依頼先の選び方に、費用の考え方はインバウンド集客の費用にまとめています。補助金を使える場合もあるので、インバウンド対策に使える補助金・助成金の一覧もあわせて確かめてください。
準備のために、最初からやらなくていいこと

18項目を一度にそろえようとすると、時間もお金も足りなくなります。英語・中国語・韓国語のページを最初から全部作る必要はなく、来ている国の言葉から順に用意すれば足ります。来ている国を確かめないまま、すべての国に向けた準備を始めるのは避けます。
見つけてもらう段階が整っていないうちに、大きな広告費をかけるのも後回しで構いません。地図や口コミの情報が少ない状態で広告から来ても、比べたときに選ぶ決め手がないからです。小さなお店のインバウンド対策の考え方は、小さなお店のインバウンド対策の記事でも書いています。
よくある質問
Q. チェックがほとんど付きませんでした。何から始めればいいですか
段階1の「来ている国を知る」から始めます。予約や会計の記録を3か月分ほど数えて、多い国を2〜3か国に絞ると、そのあとに載せる場所や用意する言葉が決まります。
Q. 外国のお客様がまだほとんど来ていないお店でも、使えますか
使えます。その場合は段階2の「見つけてもらう」に印が付かないことが多いはずです。Googleビジネスプロフィールに英語の情報と写真を入れるところから始めます。
Q. チェックリストの項目は、業種によって変わりますか
6つの段階は同じです。項目は業種で少し変わり、物を売るお店は免税の扱い、美容室は施術前のカウンセリングの伝え方が加わります。
まとめ
インバウンドの受け入れ準備は、お客様が「来ている国を知る」から「口コミと再来店」までの6つの段階で確かめると、どこが止まっているかが分かります。印の付かない項目がいちばん手前にある段階から整えるのが、いちばん早い近道です。
ご相談で迷われることが多いのは、どの段階が止まっているかより、そこを自分で直すか、頼むかのほうです。私たちは予約や会計の記録、地図やメニューを一緒に見ながら、止まっている段階と、お店で進めるところ・外に頼むところを分けて決めます。今の状態で十分なら、何もしなくていいとお伝えすることもあります。
チェックリストで気になる段階があったら、インバウンド集客のご相談からご連絡ください。支援の内容はインバウンド集客支援のページに、今の状況を整理したいときは無料診断もご利用いただけます。
この記事の監修者
出典
- 観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査を実施しました」、同 別紙「令和7年度『訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート』調査結果」(2026年10月9日取得)
- 6つの段階と18項目のチェックリスト、段階ごとの手のつけ方は、ライトハウスの支援の中で使っている実務上の整理です
- 写真:Studio Stock



