
美容室やネイルサロンで外国のお客様を受けるとき、英語が話せないことを心配される方は少なくありません。結論から言うと、受付や施術中の声かけ、会計は、短い単語と指さしで十分に進められます。ただ、カウンセリングだけは、写真とシートを先に用意しておく必要があります。
この記事では、観光庁の調査で外国の方が日本の接客のどこに困っているのかを確かめたうえで、予約の確認から次回の案内まで、場面ごとにそのまま使える英語の単語と短い言い方をまとめました。
外国の方が接客で困っているのは、どんな場面なのか

観光庁が令和7年度に空港で行った調査(回答4,110人)では、旅行中に困ったことの2位が「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じない等)」で15.4%でした。一方で、43.7%の人は「困ったことはなかった」と答えています。言葉で困る人はいますが、困ったことがなかった人も4割を超えています。
困ったときにどうしたかを聞くと、68%が「スタッフ側か旅行者自身が翻訳アプリなどを使った」と答えました。スタッフとのやりとりが便利だったと答えた人の理由でも、「スタッフが英語を話せた」の66%に次いで、「通訳機器・タブレット・指さし会話シートなどを使えた」が51%でした。英語が話せなくても、道具を用意しておけば便利だと感じてもらえると読めます。
なお、この調査の困った場所の選択肢に美容室はありません。いちばん多かったのは飲食店の38%です。美容室で言葉が問題になるのは件数より重さのほうで、希望の聞き違いは仕上がりにそのまま残ります。受ける枠やメニューの決め方は、美容室のインバウンド集客の始め方にまとめています。
予約の確認と受付で使う単語

来店したお客様に確かめるのは、名前と予約の時間くらいです。文にしなくても、単語に「please」を付ければ伝わります。予約の画面や紙を見せながら話すと、聞き取りの行き違いも防げます。
| 日本語 | 英語 |
|---|---|
| ご予約はありますか | Reservation? |
| お名前をお願いします | Your name, please. |
| 少しお待ちください | One moment, please. |
| 荷物はこちらへ | Your bag here, please. |
| こちらへどうぞ | This way, please. |
カウンセリングでは、写真と指さしのシートで確かめましょう
カウンセリングで希望を聞き違えると、仕上がりはやり直せません。「少し切る」がどのくらいなのか、「明るく」がどこまでなのかは、言葉を訳しても人によって受け取り方が違います。長さや色は、言葉で聞くより、写真と図で指してもらうほうが確かです。
まず、なりたい髪の写真をスマートフォンで見せてもらいます。次に、図1のようなシートで長さ(耳・あご・肩・胸)と前髪、色、避けたいことを選んでもらいます。英語と日本語を並べて書いておけば、スタッフもお客様も同じ場所を指せます。切る前には、指で「About this much?」と長さを示して確かめると安心です。
Point接客の多くは単語で回ります。言葉に頼れないのはカウンセリングなので、そこだけは紙で先に用意しておきます。
会話の補助には翻訳アプリも使えます。情報通信研究機構(NICT)の音声翻訳アプリ「VoiceTra」は、33言語に対応して無料で使えます。ただし、個人の旅行者の試用を想定した研究用のアプリで、お店で使い続けるなら、民間の翻訳サービスも検討するよう案内されています。東京都の美容室向けの補助金では、募集要領の対象経費の例に「自動翻訳機やアプリの導入」が挙がっています(美容室向けの東京都の補助金の記事)。
シャンプー台と施術中の声かけ

シャンプー台や施術中に聞くのは、湯の温度と痛みがないかです。聞くことが決まっているので、短い問いかけを覚えておけば足ります。お客様から言い出しやすいように、図1の「Tell us anytime」の欄を鏡の横や施術台から見える場所に置いておくのも効果があります。ネイルやエステでも、「Too hot?」「Does it hurt?」の2つはそのまま使えます。
| 日本語 | 英語 |
|---|---|
| 後ろに倒しますね | Lie back, please. |
| お湯の温度は大丈夫ですか | Is the water OK? |
| 熱くないですか | Too hot? |
| 痛くないですか | Does it hurt? |
| 起こしますね | Sit up, please. |
仕上がりの確認と会計、次回の案内

仕上がりは、合わせ鏡で後ろまで見せてから「How is it?」と聞きます。直したいところは、髪を指さしてもらえば伝わります。会計では、金額をレジやスマートフォンの画面で見せると聞き違いがありません。
| 日本語 | 英語 |
|---|---|
| いかがですか | How is it? |
| 後ろはこうなっています | This is the back. |
| カードですか、現金ですか | Card or cash? |
| こちらから次の予約ができます | You can book here. |
| またお越しください | See you next time. |
次回の予約は、予約ページのQRコードを見せて「You can book here.」と伝えれば十分です。口コミを頼むのもこのときで、頼み方は外国の方の口コミの記事にまとめています。
単語では足りない場面と、やらなくていいこと

単語で済まないのは、カラー剤やパーマ液のアレルギー、肌の状態、キャンセル料や追加料金のように、あとで「聞いていない」となると困る場面です。こうしたことは口頭で済ませず、外国語の文面で予約の前に読める状態にしておきます。場面ごとの用意は、言葉だけに頼れない場面の記事で詳しく書いています。飲食店の方は飲食店の接客の記事もあわせてご覧ください。
反対に、始める段階で英語が話せるスタッフを新しく雇う必要はありません。文法の正しい英文を覚えることも、長い説明を用意することも要りません。お店で決めるのは、シートに入れる項目と、どのメニューを受けるかです。指さしシートを外国語で整えることや、予約ページに載せる文面づくりは、外に頼むと早く形になります。
よくある質問
Q. 英語が話せないスタッフだけでも、外国のお客様を受けられますか
受けられます。受付や施術中の声かけ、会計は、短い単語と指さしで進められます。長さや色の希望は、写真と指さしシートで確かめます。アレルギーやキャンセルの決まりは、外国語の文面で予約の前に読める状態にしておきます。
Q. 翻訳アプリだけで、カウンセリングはできますか
会話の補助にはなります。ただ、「少し」「明るく」のような言葉は訳しても受け取り方が人によって違うので、長さや色は写真と指さしシートで確かめるほうが行き違いが少なくなります。
Q. 指さしシートは、何語で作ればいいですか
まずは英語と日本語を並べて作ります。そのうえで、実際に来ている国に合わせて、中国語や韓国語などを足していきます。
Q. 翻訳機やアプリの費用に、補助金は使えますか
東京都内の美容室などが使える東京都の補助金では、募集要領の対象経費の例に「自動翻訳機やアプリの導入」が挙がっています。令和8年度の申請締切は11月30日(月)必着で、予算に達すると締切の前でも受付が終わります。
まとめ
美容室やサロンの接客は、英語が話せなくても、短い単語と指さしで受付から会計まで進められます。言葉に頼れないカウンセリングだけは、写真と指さしシートを先に用意しておきます。
ご相談で迷われるのは、英語の言い方よりも、シートにどこまで項目を入れ、どのメニューを外国の方に出すかのほうです。私たちは、いまのメニューとカウンセリングの流れを一緒に見て、シートの項目と予約ページの文面を決めます。いまの受け方で困っていなければ、手を加えなくていいとお伝えすることもあります。
美容室やサロンで外国のお客様を受けたいときは、インバウンド集客のご相談からご連絡ください。支援の内容は美容室のインバウンド集客支援のページにまとめています。
この記事の監修者
出典
- 観光庁「令和7年度 訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」調査結果(令和8年4月。p.4 旅行中に困ったこと/p.9 便利だと感じた理由/p.13〜14 コミュニケーションに困った場所と対応。2026年10月1日取得)
- 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)「VoiceTra」(対応言語数・利用の注意。2026年10月1日取得)
- 東京都産業労働局 美容室などのインバウンド向けサービスを支援する補助金の募集要領(令和8年度)(補助対象経費の例。2026年10月1日取得)
- 英語の言い方と指さしシートの項目は、ライトハウスが作成した例です
- 写真:Studio Stock



