
外国人のお客様の無断キャンセル(ノーショー)は、予約を受けるときにカードを預かるか先に払ってもらい、キャンセルの決まりを英語で見せておくと防ぎやすくなります。前日の確認も、電話ではなくメールで送れるようにしておきます。
この記事では、経済産業省の委託事業として開かれた有識者勉強会がまとめた「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」をもとに、外国人のお客様の予約で何を決めておくかを順にまとめました。キャンセルの決まりと確認のメールは、英語の文例も載せています。
飲食店の無断キャンセルは、どのくらい起きているのか

2018年に公表されたこのレポートでは、無断キャンセルは飲食店の予約全体の1%弱を占め、飲食業界全体の損害は年間で約2,000億円とも言われている、としています。前日や当日などの直前のキャンセルも加えると、発生率は6%強、被害額は約1.6兆円と推計されています。
レポートは、無断キャンセルの損は、ほかのお客様で埋め合わせるのがとても難しいことを前提に考えるとしています。
外国人のお客様の予約でも、同じ心配があります。食べログを運営するカカクコムは、2024年6月に多言語版での予約の受け付けを本格的に始めたとき、飲食店にはキャンセルの心配から、ネット予約を開くことに消極的な面もあったと説明しています。無断キャンセルが怖くて外国語の予約を開けないままだと、来たいお客様の入口まで閉じてしまいます。
外国人のお客様の予約で、連絡が途切れやすいところ

外国人のお客様の無断キャンセルだけを数えた公的な統計は見当たりませんが、ご相談でよく見るのは、連絡が途切れやすい形のまま予約を受けているお店です。
旅行の予約は、何週間も前に海外から入ることがあります。予定が変わっても、日本語の電話でしか連絡できないお店に、国際電話をかけて取り消しを伝える人は多くありません。キャンセルの決まりが日本語でしか書かれていなければ、決まりがあることも伝わりません。
ですから、外国人のお客様の予約では、取り消しやすい連絡の手段と、読める言葉で書いた決まりを先に用意しておきます。レポートも、お店が取り組むこととして、予約の再確認、キャンセルの連絡をしやすい仕組み、キャンセルの決まりと料金の目安を示すこと、事前決済や預かり金の4つを挙げています。
予約の内容ごとの、カードの登録と事前決済の選び方
レポートは、無断キャンセルを抑える方法の一つとして事前決済や預かり金(デポジット)を挙げ、日本でもクレジットカードの事前登録を求める例があるとしています。人数や金額から損が大きくなりそうな予約では、事前決済や預かり金も考えられる、という書き方です。
外国人のお客様の場合、帰国したあとでキャンセル料を払ってもらうのは、現実にはかなり難しくなります。キャンセル料を決めるなら、予約の時点でカードを預かるか、先に払ってもらう形にしておきます。
Point外国人のお客様の予約は、あとから請求するのが難しいので、決まりもお金も予約の時点で済ませておく。
予約サイトの機能も使えます。食べログの多言語版では、予約の際にクレジットカードの登録が必須で、お店のキャンセルの決まりに当たる場合はキャンセル料を請求できます。国内版でコースのネット予約を受けているお店は、特別な設定なしで多言語版の予約も始められます。予約システムのTableCheckも、予約時にカード情報を預かる機能と、23か国語での予約の受け付けを案内しています。どこで予約を受けるかは、手数料も含めて予約サイトの手数料の記事で比べています。
キャンセル料の金額と、英語での書き方

キャンセル料の金額には、法律上の考え方があります。消費者契約法第9条では、キャンセル料などのうち、同じ種類の契約の解除でお店に生じる平均的な損害を超える部分は無効とされています。お客様から求められたら、金額の根拠の概要を説明するよう努めることも定められています。
レポートでは、コースの予約の無断キャンセルは、全額のキャンセル料を請求できることがあるとしています。ただし、ほかに回せる飲食物や人件費は除くなど、お店の収益の形に合わせて損を計算する必要があります。席だけの予約では、平均客単価の何割かが目安の一つになり、平均客単価や計算の方法を先に示しておく必要がある、としています。
決めた内容は、予約の画面と確認のメールに英語で書いておきます。次の表は書き方の例です。時刻や割合は例なので、お店で計算した損に合わせて入れ替えます。
| 伝えること | 英語の文例 | 日本語の意味 |
|---|---|---|
| コースのキャンセル料 | Cancellations after 6 p.m. the day before, and no-shows, will be charged the full course price. | 前日18時以降のキャンセルと無断キャンセルは、コース料金の全額をいただきます |
| 人数の変更 | Please let us know of any change in the number of guests by 6 p.m. the day before. | 人数の変更は、前日18時までにお知らせください |
| 遅れるとき | If you are more than 30 minutes late without contacting us, your reservation may be cancelled. | 連絡なく30分以上遅れた場合、予約を取り消すことがあります |
| キャンセルの方法 | To cancel, please use the link in this email. | キャンセルは、このメールのリンクからお願いします |
| 前日の確認 | We look forward to seeing you tomorrow at 7 p.m. If your plans have changed, please cancel using the link below. | 明日19時にお待ちしています。予定が変わった場合は、下のリンクから取り消してください |
前日の確認は、いつ、何で送るか
レポートは、予約の再確認を、無断キャンセルを防ぐ第一歩として挙げています。全部の予約に電話をかけるのは負担が大きいので、SMSやメールを使って来店の3日前、前日、当日の朝などに確認の連絡を入れる例が紹介されています。確認の連絡にキャンセルのボタンを付けておき、お客様が取り消しやすくする方法もあります。
外国人のお客様には、予約のときにメールアドレスを必ず入れてもらい、確認と取り消しがメールだけで済むようにしておきます。日本の電話番号だけでやり取りしようとすると、連絡が途切れがちになるからです。
お店で決めること、外に頼むと早いこと

キャンセル料をいくらにするか、どの予約からカードの登録をお願いするかは、お店の方にしか決められません。コースの予約と席だけの予約で、無断キャンセルのときに何がどれだけ損になるかを、日本語で書き出すところまではお店でできます。
外に頼むと早いのは、予約サイトや予約システムの設定と、英語の決まりや確認のメールの文面づくりです。予約の入口をどこにするかで、使える機能と手数料が変わります。相談先に迷うときは依頼先の選び方の記事をどうぞ。アレルギーや支払いなど、予約のほかに先に書いておくことは言葉だけに頼れない接客の記事にまとめています。
よくある質問
Q. 外国人のお客様にも、キャンセル料を請求できますか
レポートは、無断キャンセルがあったとき、飲食店はキャンセル料を請求できるとしています。ただ、帰国したお客様からあとで受け取るのは難しいので、予約の時点でカードを預かるか、先に払ってもらう形にしておきます。決まりは、予約の前に英語で示しておきます。
Q. キャンセル料は、いくらにすればいいですか
消費者契約法第9条では、お店に生じる平均的な損害を超える部分は無効とされています。レポートは、コースの予約は全額になることがある(ほかに回せる分は除く)、席だけの予約は平均客単価の何割かが目安の一つ、としています。
Q. 電話で予約を受けている場合は、どうすればいいですか
レポートは、電話の予約でも、最低限のキャンセルの決まりは説明するべきだとしています。外国人のお客様には、英語で決まりを確かめられる予約のページに案内し、確認のメールを送れるようにしておくと、連絡が途切れにくくなります。
まとめ
外国人のお客様の無断キャンセルは、決まりとお金を予約の時点で済ませ、確認と取り消しをメールで受けられるようにしておくと防ぎやすくなります。予約を閉じるより、入口を開けたうえで備えるほうが、来たいお客様を逃しません。
ご相談で迷われることが多いのは、どの予約からカードの登録をお願いするかです。お客様が減るのを心配して、決めきれないままになりがちです。私たちは、予約の内容ごとの損の大きさを一緒に出して、どこからお願いするかと、英語の決まりの書き方を決めていきます。今の予約の受け方で十分に防げているなら、そうお伝えします。
外国人のお客様の予約の受け方でお困りのときは、インバウンド集客のご相談からお気軽にご連絡ください。支援の内容は飲食店のインバウンド集客支援のページに、今の状況を整理したいときは無料診断もご利用いただけます。
この記事の監修者
出典
- 経済産業省「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポートが発表!」(2018年11月1日公表。国立国会図書館インターネット資料収集保存事業で保存された版。2026年10月2日取得)、同 添付「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会)
- 株式会社カカクコム「食べログ、インバウンド向けネット予約サービスを本格展開」(2024年6月26日。2026年10月2日取得)
- TableCheck「飲食店向け 予約・顧客管理システム」(2026年10月2日取得)
- e-Gov法令検索「消費者契約法」第9条(2026年10月2日取得)
- 写真:Studio Stock



