
インバウンド集客の費用は、一度かかるものと、毎月かかり続けるものに分けて考えると、判断しやすくなります。さらに、GoogleマップやEAT東京のように無料で始められる入口から手をつけ、効果を確かめてからお金をかけていけば、使わない出費を抑えられます。
「インバウンド対策にいくらかかるのか」は、多くのお店が最初に気にするところです。ただ、翻訳からSNSや決済まで項目が多く、お店ごとに必要なものも違います。この記事では、何にお金がかかるのかの分け方と、かける順番、かけた費用が見合っているかの確かめ方をまとめました。
インバウンド集客で、お金がかかるところ
インバウンドの方々を迎える準備には、大きく分けて一度払えば終わる費用と、毎月かかり続ける費用があります。メニューの翻訳や外国語ページの制作、キャッシュレス決済の機器は、最初に一度かかる費用です。予約サイトやグルメサイトの掲載料・手数料、SNSの運用や広告、決済手数料は、続けている限り毎月かかる費用です。
気をつけたいのは、毎月の費用のほうです。一度きりの費用は、払えばそれで終わります。毎月の費用は、効果がはっきりしないまま続けていると、気づかないうちに積み上がっていきます。毎月かかるものほど、始める前に「いつ、何を見て判断するか」を決めておくと、あとで迷いません。
もうひとつ見落としがちなのが、お店の手間です。外国語ページの情報を更新したり、予約サイトの枠を管理したりする時間も、実際には費用の一部です。
無料でできるところから手をつける理由

インバウンドの方々がお店を探すときの入口には、無料で整えられるものがあります。Googleのビジネスプロフィールは、Googleの公式ページで作成してGoogleに掲載するのに料金はかからないと案内されています。営業時間や料金、対応できる言語をきちんと書いておくだけで、検索やマップで見つけてもらう入口ができます。
東京都内の飲食店なら、東京都のEAT東京も使えます。多言語メニューを無料で作れるウェブサイトで、作ったメニューを飲食店検索サイトに無料で載せることもできます。掲載には5品以上のメニュー登録が必要で、申請から掲載までは約7営業日と案内されています。
無料の入口を先に整えておくと、費用を抑えられるうえに、お金をかける前に、どの国の方が、どこから来ているのかが見えてきます。その結果を見てから、どこにお金をかけるかを決めたほうが、外れが少なくなります。来ている国の調べ方はインバウンドのお客様の国を調べる記事に、Googleマップとホームページのどちらを先に直すかはホームページとGoogleビジネスプロフィールの記事に書いています。
お金をかける順番の決め方

無料の入口を整えたら、次にお客様がつまずいている場面から順にお金をかけます。見つけてもらえていないなら入口を、店内で注文に困っているならメニューを、支払いで困っているなら決済を、という具合です。
たとえば、メニューが日本語だけで注文に時間がかかっているお店なら、先に使うべきお金はメニューの多言語化です。ホームページを作り込んでも、店内で困る場面は減りません。逆に、店内の準備は整っているのにお客様が来ないお店なら、外国語ページやグルメサイトへの掲載に回すほうが効きます。
項目ごとの詳しい進め方は、多言語メニューの記事やグルメサイトの記事にまとめています。どこでつまずいているかが分からないときは、小さなお店のインバウンド対策の記事から読むと整理しやすくなります。
かけた費用が見合っているかの確かめ方
費用が見合っているかは、始める前の数字と、始めたあとの数字を比べて確かめます。見るのは、インバウンドの方々の月の来店数と客単価です。予約の記録や会計の記録から、国ごとに数えておきます。
一度きりの費用は、使う月数で割って月額にならしておくと、毎月の費用と並べて比べられます。そのうえで3か月ほどたってから、来店数と客単価がどれだけ動いたかを見ます。増えた売上が月額の費用を上回っていれば続け、下回っていれば中身を変えるか、止めて別の手に回します。
Pointお金をかける前に、判断する日と見る数字を決めておく。
予約サイトの手数料のように、来店人数に応じてかかる費用もあります。手数料をどう考えるかは、予約サイトと直接予約の記事で詳しく書きました。
補助金で費用を抑えられる場合

東京都内のお店なら、補助金で準備の費用を抑えられる場合があります。東京観光財団の「インバウンド対応力強化支援事業補助金」は、補助対象経費の2分の1以内(多言語対応は3分の2以内)、1施設・店舗あたり上限300万円です。美容室やネイル・メイクのサロンには、東京都の「多様な体験型観光推進事業補助金」があり、補助対象経費の3分の2、上限200万円で、申請の締切は令和8年11月30日必着です。
どちらも、交付決定の前に発注したものは対象になりません。補助金を使うなら、発注の前に申請を済ませる順番で計画を立てます。何から申請に入れるかは東京のインバウンド補助金の記事に、サロン向けの補助金は美容室向けの補助金の記事にまとめています。
自分でできるところ、外に頼むと早いところ

Googleのビジネスプロフィールの入力や、EAT東京でのメニュー作成は、お店の方が自分で進められる部分です。お店のことをいちばん知っているのはお店の方なので、ここは外に頼むより早く、正確に仕上がります。
一方で、来ている国に合わせてどこにお金をかけるかの判断や、外国語で探される言葉を調べて外国語ページを作る作業は、慣れていないと時間がかかります。判断に迷うところと、専門の作業が要るところだけを外に頼むと、費用を抑えながら早く進められます。
よくある質問
Q. 最初の予算は、どのくらい見ておけばいいですか
お店ごとに必要なものが違うので、一律の金額はありません。まず無料で整えられる入口から始め、つまずいている場面が分かってから、その部分の見積もりを取ると、必要な予算が見えてきます。
Q. 毎月の費用がかかるものは、いつやめればいいですか
始める前に、判断する日と見る数字を決めておきます。3か月ほどたって、インバウンドの方々の来店数と客単価から見た売上の増え方が、月額の費用を下回っていれば、中身を変えるか止めることを考えます。
Q. 補助金を使えば、費用はかからなくなりますか
かからなくなるわけではありません。補助されるのは対象経費の一部で、残りはお店の負担です。補助金は後から支払われるので、いったんお店で立て替える必要もあります。
Q. 全部を外に頼むと、どうなりますか
手間は減りますが、お店のことを伝える打ち合わせは必要で、費用も大きくなりがちです。お店の方が自分で進められる入口は自分で整え、判断や専門の作業が要るところを頼むほうが、費用を抑えやすくなります。
まとめ
インバウンド集客の費用は、一度かかるものと毎月かかるものに分け、無料の入口から手をつけて、つまずいている場面から順にお金をかけると、無駄が少なくなります。かける前に、判断する日と見る数字を決めておくことも大切です。
ご相談を受けていて迷われることが多いのは、どこまでを自分でやり、どこから外に頼むかの線を引くところです。お店の予約や会計の記録を見ながら、どこにお金をかけ、どこは自分で整えるかを一緒に決めていきます。お店の状況によっては、今は大きくお金をかけなくてよい、という結論になることもあります。
インバウンドの費用のかけ方を相談したいときは、インバウンド集客のご相談からご連絡ください。支援の内容はインバウンド集客支援のページにまとめています。
この記事の監修者
出典
- Google ビジネス プロフィール(Google ビジネス)「Google のビジネス プロフィールは無料ですか?」(2026年9月30日取得)
- 東京都「EAT東京 多言語メニュー作成支援ウェブサイト」(2026年9月30日取得)
- 東京都「EAT東京 外国語メニューがある飲食店検索サイトへの公開」(2026年9月30日取得)
- 公益財団法人東京観光財団「インバウンド対応力強化支援事業補助金」(2026年9月30日取得)
- 東京都産業労働局「多様な体験型観光推進事業補助金」(2026年9月30日取得)
- 写真:Studio Stock



