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【令和8年度】東京都のインバウンド補助金|対象のお店・使い道・補助率と申請から入金までの段取り

【令和8年度】東京都のインバウンド補助金|対象のお店・使い道・補助率と申請から入金までの段取り

東京都内の飲食店や宿泊施設なら、東京観光財団の「インバウンド対応力強化支援事業補助金」で、外国語のメニューやキャッシュレス決済にかかる費用の半分、多言語対応なら3分の2まで補助を受けられます。受付は令和9年3月31日までですが、予算に達したところで締め切られます。

ただ、補助が出るものを片端から申請しても、お客様が増えるとは限りません。何に使うかをどう決めるか、交付決定から補助金が入るまでにどう動くかを、2026年9月1日に改訂された申請の手引きをもとにまとめました。

どんなお店が、何に使えるのか

夕方の静かな日本の古い町並み

この補助金は、都内の宿泊施設や飲食店などが、インバウンドの方々を迎えるために新しく始める取り組みの費用を補助するものです。小さなお店に関わるところを抜き出すと、次のようになります。

項目内容
対象になるお店都内の宿泊施設(旅館業の許可があるもの。民泊の届出は対象外)と、飲食店や免税店などの小売店、体験を提供する施設などが対象です。飲食店・小売店・体験を提供する施設は、中小企業に限られます
使える事業多言語対応や外国人向けグルメサイトへの登録・掲載、キャッシュレス機器の導入などがあります。研修や公衆無線LAN、防犯カメラなども含まれ、業種によって使えるものが違います
補助率対象経費の2分の1以内(多言語対応は3分の2以内)
上限1施設・1店舗あたり300万円(防犯カメラは90万円まで)
受付期間令和8年4月1日〜令和9年3月31日(郵送は当日消印有効、電子申請は17時まで)

飲食店の場合は、飲食店営業か喫茶店営業の許可があり、店内に食事をするスペースがあることが条件です。申請の時点で、多言語メニュー作成支援サイト「EAT 東京」の飲食店検索サイトに掲載済みであることも求められます。掲載の手続き中では足りないので、まだなら先に済ませておきます。

美容室やサロンは、この補助金の対象に入っていません。東京都が美容室向けに別の補助金を出していて、美容室向けの補助金の記事で詳しく書いています。

補助金を使っても、お客様が増えないことがある理由

明かりのついた和食店の客席

手引きを読むと、使える事業がずらりと並んでいます。そこから「うちでも使えそうなもの」を選んでいくと、申請の中身は決まります。けれども、補助の対象になるかどうかと、お店の売上に効くかどうかは、まったく別の話です。

たとえば英語のメニューを作っても、お店を探している段階で見つけてもらえなければ、そのメニューを見てもらう機会がありません。反対に、店の前まで来た人が支払い方法を見て引き返しているなら、先に手を打つのは決済のほうです。

補助金が軽くしてくれるのは費用で、何をやるかまでは決めてくれません。そこを取り違えると、費用は半分で済んでも、効かない取り組みに時間を取られます。

Point補助金が軽くするのは費用だけ。何に使うかは、来ている国と困っている場面から先に決める。

何に使うかを決める順番

申請の中身は、順番に決めると迷いにくくなります。まず来ている国と言語を確かめます。次にどの場面で困っているかを選び、最後にその場面に効く経費を決めます。

来ている国と言語を決める、困っている場面を1つ選ぶ、その場面に効く経費を選ぶ、の3段階の図
図1 補助金を何に使うかを決める順番

多言語対応では英語が必須で、そのほかの言語はお店が選べます。どの言語を足すかは、お店に来ている外国人の国の調べ方で割合を出してから決めると外しません。すでに多言語化しているお店は、新しく足す言語だけが補助の対象です。

困っている場面ごとに、申請に入れる事業の目安を表にしました。

困っている場面申請に入れる事業気をつけること
注文のときに説明が伝わらないメニューや店内の案内の多言語化ネイティブチェックなどで誤訳を防ぐ必要がある。表示用のタブレットやモニターは対象外
探す段階で見つけてもらえないホームページの多言語化、外国人向けグルメサイトへの登録(飲食店のみ)グルメサイトは初期登録費と初月分だけ。上位表示などのオプションは対象外
支払いで手が止まるキャッシュレス機器の導入タッチ決済とQRコード決済に対応し、複数の外国通貨を扱える機器に限る
スタッフが対応に自信を持てない研修やマニュアルの作成多様な文化や習慣への対応を含める。録画のeラーニングは対象外

ホームページの多言語化では、翻訳費にコーディング費を含められます。そのかわり、見積もりでは翻訳費と分けて内訳を書いてもらう必要があります。作ったページが検索で見つかるかどうかは、また別の問題です。英語ページが検索に出てこないときの記事もあわせて読んでおくと、制作会社との打ち合わせが早くなります。メニューの中身の決め方は多言語メニューの記事に書きました。

申請から補助金が入るまでの段取り

この補助金は、交付決定の日より前に始めた事業には出ません。申請する前に、いつ発注していつ支払うかまで、日付を入れて組んでおくと安心です。

見積書と相見積書をそろえて申請、審査、交付決定のあとに発注・実施、実績報告と検査、補助金の受け取り、の5段階の流れ図
図2 申請してから補助金が入るまでの流れ

まず見積もりです。金額に関わらず、相見積書も出す決まりになっています。見積書は「一式」ではなく数量と単価で書いてもらい、翻訳なら文字単価と文字数まで明細にしてもらいます。

書類に不足がない状態になってから、審査には通常1か月ほどかかります。この間にしびれを切らして発注すると、その分は補助が出ません。交付決定が出たら、その日から1年以内に契約から支払いまでを終えます。

お金の流れにも気をつけてください。補助金が入るのは、事業が終わって実績報告を出し、検査を受けたあとです。それまでの支払いは、お店がいったん全額を立て替えます。

電子申請には「GビズIDプライム」のアカウントが要り、発行まで通常2〜3週間かかります。間に合わなければ郵送でも申請できます。

対象にならない費用と、やってはいけないこと

紙に文字を書く万年筆のペン先

いちばん多い失敗は、交付決定の前に発注してしまうことでしょう。決定の前に発注したもの、工事を始めたもの、導入したものは、すべて対象から外れます。

申請を業者に任せきりにするのも危険です。財団は代行申請を受け付けていません。発注する予定の業者が申請書類の作成や相見積書の取得まで代わりに行っていたと分かった場合も、交付の対象になりません。

費用の中身にも決まりがあります。対象になるのは初期費用だけで、保守費や月額の利用料は、グルメサイトの初月分を除いて入りません。リースやレンタルの機器、中古品も対象外です。支払いにポイントやクレジットカードは原則として使わないよう求められていて、付いたポイントは対象経費から差し引かれます。

反対に、使える事業を全部申請に入れる必要はありません。困っている場面を1つに絞った申請のほうが、書類も準備も軽く済み、効いたかどうかも確かめやすくなります。

よくある質問

Q. 美容室やサロンも、この補助金を使えますか

使えません。この補助金の対象は宿泊施設や飲食店、小売店、体験を提供する施設などで、リラクゼーションも対象外とされています。美容室には、東京都の別の補助金があります。

Q. すでに英語のメニューがあります。対象になりますか

英語を作り直す費用は対象になりません。すでに多言語化している場合は、新しく足す言語だけが補助の対象です。来ている国に合わせて、中国語や韓国語などから足す言語を選びます。

Q. 飲食店が申請する前に、準備しておくことはありますか

「EAT 東京」の飲食店検索サイトに掲載済みであることが必要です。手続き中では足りないので、先に掲載を済ませておきます。飲食店営業か喫茶店営業の許可書も、有効期間内のものを用意します。

Q. 申請の書類づくりを、業者に頼んでもいいですか

財団は代行申請を受け付けていません。発注する予定の業者に申請書類の作成まで任せると、交付の対象外になります。申請書類はお店が自分で作り、見積書は業者から受け取る形にします。

まとめ

東京都内のお店なら、インバウンド対応の費用の半分から3分の2を、この補助金で賄える可能性があります。申請の中身は、来ている国と困っている場面を先に決めてから選び、発注は交付決定を待ってからにします。

ご相談を受けていて迷いが出やすいのは、制度の条件より、どの場面にお金をかけるかのほうです。メニューも決済もホームページも、どれも必要に見えるからです。お店の客層や、お客様がどこで引き返しているかを一緒に見ながら、申請に入れるものを絞るのが、私たちのお手伝いできるところです。いまは補助金を使うほどの取り組みは要らない、という結論になれば、それもお伝えします。

この補助金の内容や、お店が対象になりそうかを確かめたいときは、無料診断からご相談ください。インバウンドの支援内容はインバウンド集客支援のページに、資金の相談は創業・資金支援にまとめています。

この記事の監修者

瀬川将也

瀬川将也(合同会社ライトハウス 代表)

マーケティング歴10年。マーケティングと制作を手がける会社を含む2社で役員を務め、現在は観光系NPO法人の理事も務めています。上場企業の売上につながるお問い合わせ獲得をゴールとした広告運用・SEO、新規事業の商品の販売戦略構築、飲食店フランチャイズの出店拡大など、大きめの会社から小さなお店まで幅広く支援してきました。

出典

  1. 公益財団法人東京観光財団「インバウンド対応力強化支援事業補助金」(2026年9月29日取得)
  2. 公益財団法人東京観光財団「令和8年度 インバウンド対応力強化支援事業補助金 申請の手引き」(令和8年9月1日改訂、2026年9月29日取得)
  3. 写真:Studio Stock
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