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インバウンドの客単価はいくら?国別の飲食費と1泊あたりの目安、メニューの値付けの考え方

インバウンドの客単価はいくら?国別の飲食費と1泊あたりの目安、メニューの値付けの考え方

インバウンドの方々が旅行中に飲食に使うお金は、観光で来た人で1人あたり約4万9千円です。国ごとに見ると、韓国の約2万8千円からオーストラリアの約8万6千円まで、3倍ほどの開きがあります。けれども、滞在の泊数でならすと、多くの国が1泊あたり6千円台半ばから9千円ほどに収まります。

「外国のお客様向けに、値段をいくらにすればいいのか分からない」というご相談をよくいただきます。この記事では、観光庁の2025年の調査から国ごとの飲食費を1泊あたりに直して並べ、お店の値段と客単価をどう考えるかを書きました。メニューへの値段の書き方と、1回の来店で使っていただく金額の上げ方まで、順にまとめています。インバウンド全体の需要の大きさは、インバウンドの需要の記事にまとめました。

国ごとに見た、旅行中の飲食費

観光庁の「インバウンド消費動向調査」2025年の確報では、1人が旅行中に使ったお金を、国・地域ごと、費目ごとに出しています。観光・レジャー目的で来た人に絞ると、飲食費の平均は4万8,777円でした。

国ごとの差は大きく、韓国は2万7,734円、台湾は3万8,902円で、英国は8万5,534円、オーストラリアは8万6,467円です。旅行全体の金額だけを見ると、欧米やオーストラリアの方々のほうが食事にお金を使っているように見えます。ただ、この差の多くは、滞在の長さから来ています。韓国の方の平均は3.4泊、オーストラリアの方は13.2泊です。

2025年の観光・レジャー目的の方の、国・地域別の1人あたり飲食費と1泊あたりの目安。全国籍・地域4.9万円で1泊6,870円、韓国2.8万円で8,157円、台湾3.9万円で6,947円、香港5.4万円で9,058円、中国4.9万円で7,628円、タイ4.5万円で7,563円、シンガポール6.7万円で7,401円、米国7.0万円で6,514円、英国8.6万円で6,682円、フランス7.6万円で4,587円、オーストラリア8.6万円で6,551円
図1 国・地域別の、旅行中の飲食費と1泊あたりの目安(2025年、観光・レジャー目的)

図の右側は、飲食費を平均の泊数で割った1泊あたりの目安で、私たちが計算したものです。全体では6,870円でした。韓国と香港は8千〜9千円ほど、米国と英国は6千円台半ばです。フランスの4,587円のように低い国もありますが、1泊あたりにならすと、旅行全体で見たときの3倍の差は、2倍ほどに縮まります。欧米やオーストラリアの方々の滞在の特徴は、欧米やオーストラリアの観光客の記事に書いています。

1泊あたりの額から見た、1回の食事の値段

窓からの光が差す座卓に並んだ、焼き魚とご飯、みそ汁の定食

1泊あたりの額は、朝・昼・夜の食事に、途中の飲み物や甘いものまでを合わせた金額です。全体の平均でならすと、インバウンドの方々は旅行中の1日に7千円ほどを食事に使っていることになります。こう置くと、お店の1回の値段がその中でどのくらいの重さになるのかが見えてきます。

夜にしっかり食べる1食は、1日の食費の中でもいちばん大きな出費です。昼の定食やラーメンなら、1日の中の気軽な1食として手に取りやすい値段かどうかを見ます。国ごとに値段を変えるより、どの時間帯の、どんな1食として選ばれたいのかを先に決めるほうが、値段は決めやすくなります。

ただし、ここでの数字は平均をならした目安です。高いコースを目当てに来る方もいれば、手軽に済ませる日もあります。お店に来ている方の国と、注文した品と会計額を1か月ほど記録すると、目安がお店の数字に置き換わります。来ている国の調べ方は、インバウンドのお客様の国を調べる記事に書きました。

値段の安さで選んだ人は、2割ほど

障子越しの光の中、盆に載ったご飯と漬物

観光庁の2025年の年次報告書では、日本でいちばん満足した飲食と、その理由も聞いています。全体で最も多い理由は「美味しい」の94.4%で、次が「食材が新鮮」の45.2%、「伝統的・日本独特である」の23.2%でした。「価格が手頃・自国より安い」を選んだ人は19.8%です。

インバウンドの方々が食事に満足した理由の中心は味と食材で、値段の安さを挙げた人は2割ほどでした。ラーメンに絞っても、「価格が手頃」を理由に挙げた人は19.8%で、「伝統的・日本独特である」の24.0%と大きくは変わりません。

ですから、外国の方に来てもらうために値段を下げる必要はあまりありません。何が美味しいのか、どこが日本らしいのかを伝えるほうが、値段に見合う理由になります。外国の方だけ値段を変えるかどうかは、お店ごとの判断です。この記事では、同じ値段のまま、中身と総額を分かりやすくして選んでもらう考え方で書いています。お店の技術や手仕事の伝え方は、日本のお店の技術とインバウンドの記事にまとめました。

値段の横に書いておく、税込みの総額と中身

値段をいくらにするかと同じくらい大事なのが、値段の書き方です。国税庁の案内では、お店が消費者にあらかじめ値段を示すときは、消費税を含めた総額で表示することが義務付けられています。外国語のメニューも、日本語のメニューと同じように税込みの総額で書きます。

外国語のメニューの例。Chef's Sushi Courseの下に、1 料理の中身、2 かかる時間、3 1人あたりの税込み総額、4 料金に含まれない飲み物やお通し、5 追加できる日本酒の組み合わせを書いている
図2 外国語のメニューに、値段と一緒に書いておくこと(例)

外国の方がメニューの前で迷うのは、値段そのものより、その値段で何が出てくるのかと、ほかに何がかかるのかです。料理の中身とかかる時間、1人あたりの税込み総額、料金に含まれないものを値段の横に並べて書いておくと、注文の前に全部が分かります。

お通しや席料があるお店は、特に先に書いておきます。日本では当たり前の習慣でも、知らずに来た方は会計のときに初めて気づくことになります。メニューと予約ページ、Googleビジネスプロフィールに同じ説明を載せておけば、会計のたびに説明に追われることもなくなります。メニュー1品ごとの書き方は、多言語メニューの記事にまとめています。

1回の来店で使っていただく金額を、自然に上げるには

桜の枝が添えられた卓上の、日本酒の徳利と杯、湯のみ

客単価を上げる方法でいちばん無理がないのは、値上げより、選べるものを用意しておくことです。中身の分かるコースと、料理に合わせる飲み物、あとから足せる一品があると、使っていただく金額は自然に上がります。

コースは、何が何品出てくるかが決まっているので、言葉が通じにくい方でも頼みやすい形です。単品をひとつずつ選ぶのに迷わずに済み、お店の料理を順番に味わってもらえます。

飲み物では、日本の酒が手がかりになります。観光庁の調査では、日本滞在中に「日本の酒を飲むこと」をした人は48.6%で、した人の92.5%が満足していました。料理に合う日本酒を3種類ほど少しずつ出す組み合わせは、どのお酒を頼めばいいか分からない方にも選びやすくなります。お酒を飲まない方には、お茶やノンアルコールの飲み物も同じように選べるようにしておきます。

あとから足せる一品は、替え玉やトッピング、食後の甘いもののように、食事の途中で頼めるものです。外国語のメニューに追加できる品として値段と一緒に並べておけば、指さしで頼んでもらえます。

Point客単価は、値段を上げるより、中身の分かるコースと合わせる飲み物、足せる一品を用意して上げていく。

お店で決めること、外に頼むと早いこと

障子から光が差し込む和室の座卓に置かれた、漆の重箱

値段と、コースに何を入れるかは、原価と手間が分かっているお店の方にしか決められません。まずは1か月ほど、外国の方の注文と会計額を記録しておくことが、どこに手を入れるかを決める材料になります。

一方で、料理の中身や料金に含まれないものを外国語で誤解なく書くことと、国ごとの数字とお店の記録を並べて見ることは、外に頼むほうが早い部分です。飲食店のインバウンド対策を何から始めるかは、飲食店のインバウンド集客の始め方の記事に書いています。

よくある質問

Q. インバウンドの方々は、1回の食事にいくら使いますか

1回の食事ごとの金額は、観光庁の調査では出ていません。2025年の観光・レジャー目的の方の飲食費は1人あたり4万8,777円、平均7.1泊で、ならすと1泊あたり6,900円ほどです。お店の数字は、実際の会計額を記録して確かめます。

Q. 国によって値段を変えたほうがいいですか

旅行全体の飲食費は国によって3倍ほど違いますが、その多くは滞在の長さの違いです。1泊あたりにならすと、差は2倍ほどに縮まります。国ごとに値段を変えるより、どんな1食として選ばれたいかを決めて値段を置くほうが、決めやすくなります。

Q. 外国語のメニューも、税込みで書く必要がありますか

国税庁の案内では、消費者にあらかじめ値段を示すときは、消費税を含めた総額の表示が義務付けられています。外国語のメニューも、日本語のメニューと同じように税込みの総額で書きます。

Q. 値段を安くしたほうが、インバウンドの方々に選ばれますか

観光庁の調査では、いちばん満足した飲食の理由に「価格が手頃・自国より安い」を選んだ人は19.8%でした。「美味しい」は94.4%です。値段を下げるより、何が美味しいのか、どこが日本らしいのかを伝えるほうが、選ばれる理由になります。

まとめ

インバウンドの方々の飲食費は、旅行全体で見ると国によって3倍ほど違いますが、1泊にならすと多くの国で6千円台半ばから9千円ほどです。値段は国に合わせて変えるより、どんな1食として選ばれたいかを決め、税込みの総額と中身をそろえて書くところから考えます。

ご相談で迷われるのは、値段をいくらにするかよりも、コースや飲み物の組み合わせに何を入れて、何を単品に残すかというところです。私たちは、外国の方の注文と会計の記録を一緒に見ながら、メニューの組み方と外国語での書き方を決めていきます。いまの値段と書き方で十分に選ばれているなら、変えなくていいとお伝えします。

外国の方向けのメニューや値段でお困りのときは、インバウンド集客のご相談からお気軽にご連絡ください。飲食店向けの支援の内容は、飲食店のインバウンド集客支援のページにまとめています。

この記事の監修者

瀬川将也

瀬川将也(合同会社ライトハウス 代表)

マーケティング歴10年。マーケティングと制作を手がける会社を含む2社で役員を務め、現在は観光系NPO法人の理事も務めています。上場企業の売上につながるお問い合わせ獲得をゴールとした広告運用・SEO、新規事業の商品の販売戦略構築、飲食店フランチャイズの出店拡大など、大きめの会社から小さなお店まで幅広く支援してきました。

出典

  1. 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年の調査結果(確報)の概要」(図表6を使用。2026年9月30日取得)
  2. 観光庁「訪日外国人の消費動向 インバウンド消費動向調査結果及び分析 2025年 年次報告書」(図表4-4・6-1・6-2を使用。2026年9月30日取得)
  3. 国税庁「No.6902 『総額表示』の義務付け」(2026年9月30日取得)
  4. 1泊あたりの目安は、出典1の1人あたり飲食費を平均泊数で割ったライトハウスの計算です。図2のメニューの値段と品数は説明のための例です
  5. 写真:Studio Stock
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