
欧米やオーストラリアからの観光客は、アジアからの方々に比べて日本に長く滞在し、1人当たりの旅行支出も大きい傾向があります。数はアジアほど多くなくても、1組ずつがお店にとって大切なお客様です。
この記事では、日本政府観光局(JNTO)と観光庁の数字で、欧米やオーストラリアからの方々の特徴を確かめます。そのうえで、小さなお店が英語で伝えることと食事の配慮、料理の楽しみ方の伝え方、口コミへの備えを順にまとめました。自分でできることと、外に頼むと早いことの目安も最後に書いています。
欧米やオーストラリアからの観光客は、いま増えているのか

JNTOの推計値では、2026年1〜8月の訪日外客数の総数は2,762万6,300人で、前年同期より2.7%減りました。その中で、欧米やオーストラリアからの訪日外客数は、そろって前年より増えています。
| 国 | 2026年1〜8月の訪日外客数(推計値) | 前年同期比 | 観光目的の平均泊数(2025年) |
|---|---|---|---|
| 米国 | 230万5,300人 | 6.1%増 | 10.7泊 |
| オーストラリア | 68万1,200人 | 3.4%増 | 13.2泊 |
| カナダ | 46万9,600人 | 7.0%増 | 12.5泊 |
| 英国 | 36万4,800人 | 5.8%増 | 12.8泊 |
| フランス | 31万8,300人 | 8.6%増 | 16.5泊 |
| ドイツ | 28万1,500人 | 5.6%増 | 15.2泊 |
| 総数(全国籍・地域) | 2,762万6,300人 | 2.7%減 | 7.1泊 |
平均泊数は、観光庁の「インバウンド消費動向調査」2025年の年次報告書から、観光・レジャー目的で来た人の数字を並べました。全体の7.1泊に対して、欧米やオーストラリアからの方々は10泊を超えています。滞在が長い分、同じ地域の中で何度も食事をし、買い物をする機会があります。
長く滞在し、飲食にもお金をかける人たち
同じ報告書では、1人当たりの旅行支出を国ごとに出しています。欧米やオーストラリアからの方々の旅行支出は、全体の平均を大きく上回ります。飲食費だけを見ても、1人当たり7万〜8万円台です。
たとえば英国は39.1万円、そのうち飲食費は8.2万円です。全体の平均は22.9万円で、飲食費は5.0万円でした。滞在の長さを考えると、1回の食事にかける額が特別に大きいとは限りません。ただ、何度もお店を選ぶ機会がある人たちだと考えると、選ばれる準備をしておく意味は大きいと言えます。
出発前に見ている情報と、英語で伝えておくこと

出発前に役に立った旅行情報源を国ごとに見ると、アジアとは順番が違います。米国やオーストラリアでは動画サイトが1位で、英国やドイツでは家族や知人から聞いた話が1位でした。
| 国 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 米国 | 動画サイト 43.0% | 自国の親族・知人 35.6% | SNS 35.4% |
| オーストラリア | 動画サイト 43.9% | SNS 38.4% | 自国の親族・知人 36.0% |
| 英国 | 自国の親族・知人 41.5% | SNS 33.2% | 宿泊施設のホームページ 32.6% |
| ドイツ | 自国の親族・知人 43.3% | SNS 36.4% | 動画サイト 36.2% |
| フランス | SNS 41.6% | 自国の親族・知人 38.3% | 動画サイト 36.9% |
どの国でも、日本に着いてからは「飲食店」の情報が役に立ったと答えた人が2位に入っています。動画やSNS、知人の話で候補を知り、日本に来てから、近くのお店を探して確かめる流れです。
そのときに確かめられるように、料理の中身と料金、営業時間、予約と支払いの方法を英語で書いておきます。凝った英文である必要はありません。Googleマップのお店の情報と、ホームページの英語のページに、同じ事実をそろえて書いておきます。英語のページに載せる中身はインバウンド向けのホームページの記事に、どちらから直すかはGoogleビジネスプロフィールとホームページの記事にまとめました。
食べられないものを、先に書いておく理由

宗教や信条、体質によって、食べられないものがある方がいます。肉を食べない方、豚肉やアルコールを避ける方、特定の食材にアレルギーがある方です。食べられるかどうかが分からない料理は、おいしそうに見えても選ばれにくくなります。
見落としやすいのは、料理の見た目からは分からない材料です。野菜の料理でも、だしに魚や肉が使われていることがあります。メニューには料理名に加えて、主な材料と使っていないもの(肉・魚・アルコールなど)を書いておきます。分からないことを聞かれたときに答えられるよう、材料の一覧をお店で持っておくと安心です。書き方は多言語メニューの記事に詳しく書きました。
食事を体験として楽しんでもらう工夫

観光庁の同じ報告書では、今回の旅行でしたこととして「日本食を食べること」を挙げた人が98.2%いました(全国籍・地域)。日本での食事は、旅行の目的そのものになっています。
滞在が長い欧米やオーストラリアからの方々には、料理そのものに加えて、その料理の背景を伝えると喜ばれます。どう食べるとおいしいか、どの地域の料理か、どんな季節のものかを、英語で一言添えるだけでも伝わります。器や店内のしつらえも、そのまま体験の一部になります。特別なメニューを新しく作らなくても、今の料理の楽しみ方を伝えることが、選ばれる理由になります。
Point欧米やオーストラリアからのお客様には、数を追うより、1組に長く楽しんでもらえる準備を先に整える。
口コミの広がり方と、自分でやるか頼むかの目安

英国やドイツでは、家族や知人から聞いた話が旅行情報源の1位でした。一度来てくれたお客様の満足が、次のお客様を連れてきます。帰国後に友人へ話したり、口コミを書いたりしてもらえるよう、英語で書かれた口コミにも丁寧に返信しておきます。返信の決め方は口コミ返信の記事にまとめました。
ここまでのうち、Googleマップの英語の情報を整えること、メニューに材料を書き足すこと、口コミに返信することは、お店で始められます。一方で、英語のページを作ること、英文が自然かどうかの確認、どの国から来ているかを踏まえた優先順位づけは、外に頼むほうが早いことが多い部分です。来ている国の割合がまだ分からない場合は、来ている国の調べ方の記事から始めてください。
よくある質問
Q. 英語が話せなくても、欧米からのお客様を受け入れられますか
受け入れられます。料理の中身や料金、支払いの方法を英語で書いておけば、会話が少なくても注文は進みます。分からないことは翻訳アプリで補えます。
Q. ベジタリアン向けのメニューを新しく作る必要はありますか
最初から新しく作る必要はありません。今あるメニューの主な材料と、肉や魚、アルコールを使っているかどうかを書いておくことが先です。そのうえで食べられる料理が少ないと分かったら、作るかどうかを考えます。
Q. 欧米向けとアジア向けで、情報を分けたほうがいいですか
書く事実は同じで構いません。ただ、情報を見つけてもらう場所は国によって違います。お店に来ている国の割合を確かめてから、どこに力を入れるかを決めるのが確かです。
まとめ
欧米やオーストラリアからの観光客は、数はアジアほど多くないものの、いまも増えています。長く滞在し、飲食にもお金をかける人たちなので、1組ずつに選ばれる準備が効いてきます。英語で料理の中身や料金を伝え、食べられないものを先に書き、料理の楽しみ方を添えて、口コミにも応えていきます。
実際にご相談を受けていると、迷うのは英語で何を書くかより、どこまで手をかけるかのほうです。欧米からのお客様がどのくらい来ているのか、今のお店で何が足りていないのかを一緒に確かめて、最初に整えるところを決めるのが、私たちのお手伝いできるところです。今の準備で十分に選ばれているなら、手を広げなくていいとお伝えすることもあります。
欧米やオーストラリアからのお客様の受け入れを相談したいときは、インバウンド集客のご相談からお問い合わせください。支援の内容はインバウンド集客支援のページにまとめています。
この記事の監修者
出典
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」(2026年9月16日公表、報道発表資料の国・地域別の表。2026年9月30日取得)
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」(図表1-12・2-7・6-1と、国籍・地域別の旅行情報ランキングを使用。2026年9月30日取得)
- 写真:Studio Stock



