
インバウンドの集客にSNSは効くのか。観光庁の調査では、日本に来る前に役に立った旅行情報源として、SNSを挙げた人が43.3%、動画サイトが39.6%で、どちらもほかの情報源より多く選ばれています。旅行者が出発前にSNSで行き先を探しているのは、数字からも確かです。
ただ、SNSといってもいくつもあり、どれを使えばいいのか、どこまで手をかければいいのかで迷うお店は少なくありません。使うSNSは、お店に来ている国の方が見ている場所から決めるのが近道です。この記事では、SNSにできることとできないこと、選び方、投稿の中身と手間の目安をまとめました。小さなお店やサロンを念頭に書いています。
インバウンドの方々が、出発前に見ている情報源
観光庁の「インバウンド消費動向調査」の2025年の年次報告書は、日本に来る前に役に立った旅行情報源を尋ねています。上位は、SNS、動画サイト、個人のブログの順でした。旅行会社や宿泊施設のホームページ、口コミサイトは、どれも1割ほどにとどまります。
国ごとに見ると、順番は少しずつ違います。同じ報告書の国・地域別の集計から、主な国の上位3つを抜き出しました。
| 国・地域 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 韓国 | SNS 47.1% | 動画サイト 43.8% | 個人のブログ 42.9% |
| 台湾 | 動画サイト 45.5% | SNS 42.7% | 個人のブログ 29.0% |
| 香港 | 動画サイト 48.8% | SNS 40.8% | 日本政府観光局のホームページ 16.2% |
| 中国 | SNS 49.4% | 動画サイト 24.4% | 自国の親族・知人 15.0% |
| 米国 | 動画サイト 43.0% | 自国の親族・知人 35.6% | SNS 35.4% |
| 英国 | 自国の親族・知人 41.5% | SNS 33.2% | 宿泊施設のホームページ 32.6% |
アジアの国ではSNSと動画が上位を占める一方で、米国や英国では、家族や知人から聞いた話も同じくらい重く見られています。同じ「インバウンド」でも、来ている国によって、情報を集める場所が変わるということです。なお、この調査の「SNS」はFacebookやX、微信などをまとめた項目で、個別のSNSごとの割合は出ていません。
SNSでできること、できないこと

SNSが得意なのは、お店をまだ知らない人に見つけてもらうことです。旅行の計画を立てている人が、料理や施術の写真、店内の雰囲気を見て、行ってみたい場所の候補に入れる。この入口の役目は、SNSと動画がいちばん強いところです。
一方で、SNSだけで来店まで運ぶのは難しいものです。旅行者は候補を見つけたあと、場所、営業時間、料金、予約の方法を確かめます。日本に来てからも、同じ報告書で滞在中に役に立った情報として「飲食店」の情報を挙げた人が56.0%いました。見つけてもらうのはSNS、確かめて予約してもらうのはGoogleマップや予約ページと、役目が分かれています。
ですから、SNSを始めるなら、投稿を見た人がたどり着く先も一緒に整えておく必要があります。Googleマップとホームページのどちらから手を入れるかはこちらの記事に、予約の受け方は予約サイトと直接予約の記事に書きました。
使うSNSを、来ている国から選ぶ順番
使うSNSを決めるとき、流行っているものや、自分が普段使っているものから選びがちです。けれども大事なのは、お店に来ている国の方が、どこで情報を探しているかです。
まず、来ている国の割合を出します。予約や決済、免税の記録から数えられます。調べ方は来ている国の調べ方の記事にまとめました。次に、来店したインバウンドの方々に、お店を何で知ったのかを尋ねて書き留めておきます。会計のときにひと言聞くだけでも、数が集まれば傾向が見えてきます。
そのうえで、いちばん多い国の方が見ている場所を1つ選び、そこから始めます。いくつものSNSに少しずつ投稿するより、1つを続けたほうが、見つけてもらえる量は積み上がります。手が回るようになってから、2つ目を足しても遅くありません。
PointSNSを増やす前に、来ている国の方が見ている場所を1つ選んで続ける。
投稿するのは、旅行者が確かめたい中身

何を投稿するか迷ったら、旅行者が候補を選ぶときに確かめたいことから考えます。料理や施術の仕上がりが一目で分かる写真や短い動画が、いちばん伝わります。言葉が通じなくても、見れば分かるからです。
写真や動画には、料金の目安、場所の分かりやすい目印、予約の方法、対応できる言語を短く添えます。長い文章を外国語で書く必要はありません。SNSに書く事実は、Googleマップやお店のページに書いてあることとそろえておきます。書いてあることが食い違うと、確かめに来た人が迷ってしまいます。AI検索に拾われる書き方はこちらの記事で紹介しています。
美容室やサロンの場合は、仕上がりの写真に加えて、受けられるメニューと予約の枠をはっきり示しておくと、問い合わせのやり取りが減ります。受け入れる枠の決め方は美容室の記事に書きました。
かける手間の目安と、やらなくていいこと

小さなお店にとって、SNSは本業の合間の仕事です。最初に決めておきたいのは、無理なく続けられる頻度です。週に1〜2回でも、同じ調子で続いているアカウントのほうが、思いついたときにまとめて投稿するより信頼されやすくなります。これは私たちが支援の中で使っている目安で、決まった基準があるわけではありません。
反対に、最初からやらなくていいこともあります。いくつものSNSのアカウントを一度に作ること、フォロワーの数を追いかけること、毎月決まった料金で運用をまるごと外に任せることです。フォロワーの数より、見た人が予約や来店に進んでいるかのほうが大事です。手間と費用をかける前に、来店につながっているかを確かめるほうが、結果として長く続きます。費用を抑えて投稿の方針を決めた例は、ラーメン店の事例で紹介しています。
よくある質問
Q. 外国語で投稿しないと意味がありませんか
写真や動画が中心なら、長い外国語の文章は要りません。料金や予約の方法など、確かめたい事実を短く添えれば十分です。来ている国の言葉で一言添えられると、なお伝わりやすくなります。
Q. どのSNSがいちばん効果がありますか
お店に来ている国によって変わります。観光庁の調査でも、国ごとに役に立った情報源の順番が違いました。まず来ている国の割合を調べ、その国の方がどこで知ったかを尋ねてから決めるのが確かです。
Q. 動画は凝ったものを作らないといけませんか
凝った編集は必要ありません。料理や施術の仕上がりが分かる短い動画で十分です。ただ、暗い写真やぶれた映像では良さが伝わらないので、明るさと撮る角度には気を配りましょう。
Q. SNSを始める前に、ほかにやっておくことはありますか
投稿を見た人がたどり着くGoogleマップと予約ページの情報を、正しくそろえておくことです。SNSで見つけてもらっても、場所や予約の方法が分からなければ、来店にはつながりません。
まとめ
インバウンドの方々は、出発前にSNSや動画でお店を探しています。ただし、どの情報源を重く見るかは国によって違うので、使うSNSはお店に来ている国から決めます。SNSは見つけてもらう入口で、確かめて予約してもらう先はGoogleマップや予約ページが担います。
実際にご相談を受けていると、迷うのは投稿の中身より、どのSNSに絞るかのほうです。いくつも始めて手が回らなくなっている例も少なくありません。来ている国の割合と、お店を知ったきっかけを一緒に確かめて、始める1つを決めるのが、私たちのお手伝いできるところです。今のままで十分に見つけてもらえているなら、無理に増やさなくていいとお伝えすることもあります。
どのSNSから始めるかを一緒に整理したいときは、無料診断からご相談ください。インバウンドの集客全体の進め方はインバウンド集客支援のページにまとめています。
この記事の監修者
出典
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」(図表5-1・5-2、国籍・地域別の集計。2026年9月30日取得)
- 観光庁「インバウンド消費動向調査」(2026年9月30日取得)
- 写真:Studio Stock



