
英国(イギリス)の方が日本のお店を選ぶとき、出発前にいちばん頼りにしているのは家族や知人の話です。観光庁の2025年の調査では41.5%がそう答え、旅行ガイドブック(31.7%)や口コミサイト(26.8%)も全体の3倍前後の割合で使われていました。SNSの準備だけでは、英国の方の候補に入りにくいということです。
ところが日本のお店の多くは、英国の方がどこでお店を知り何を見て決めるのかを知らないまま、日本語の情報だけを出しています。英語で確かめられないお店は、外国の方を受け入れているかどうかさえ伝わりません。この記事では、英国の方がお店を知ってから予約するまでに見る情報を公的な調査と公式の案内で確かめ、飲食店と美容室・サロンが整えることをまとめました。
英国の方は、出発前に何を見てお店を知るのか
JNTOの推計では、2026年1〜8月に来日した英国の方は36万4,800人で、前年同期より5.8%増えました。観光庁の2025年の調査では、英国の方の91.9%が団体ツアーを使わずに自分で旅行を手配していて、62.1%が初めての来日でした。行き先もお店も、自分たちで調べて決める人が多い国です。
次の図は、出発前と滞在中に役に立った旅行情報を、英国と全国籍・地域で比べたものです。
全体ではSNS(43.3%)と動画サイト(39.6%)が上位ですが、英国の方ではどちらも3割前後にとどまります。代わりに多いのは、知人の話と各種の公式サイト、ガイドブックと口コミサイトです。英国の方は、人から聞いた話と、編集された情報や口コミを重ねて、行き先とお店の候補を絞っています。欧米の方々に共通する滞在の特徴は欧米やオーストラリアの観光客の記事に、米国の方についてはアメリカの予約媒体の記事に書いています。
候補を絞るのに使われる、ガイドブックと口コミサイト

旅行ガイドブックを役に立ったと答えた人は、全体では8.1%ですが、英国の方では31.7%です。ガイドブックに載るお店は編集する側が選びます。ただ、ガイドブックで「この地域でこの料理を」と決めた人は、そのあと具体的なお店を口コミサイトと地図で探します。
口コミサイトは、調査の選択肢に「トリップアドバイザー等」と例が書かれていて、英国の方の26.8%が役に立ったと答えています(全体は11.0%)。Tripadvisorは、お店の情報の管理や写真の追加、口コミへの返信を無料で行えると案内しています。英国の方に見つけてもらうなら、Tripadvisorにお店が載っているか、載っていれば情報が正しいかを、まず確かめます。英語の口コミに返信しておけば、英語で問い合わせても通じるお店だと伝わります。口コミの頼み方は外国の方の口コミの記事にまとめました。
日本に着いてから、近くのお店をどこで確かめるか

日本に着いてから役に立った情報では、英国の方の68.6%が「飲食店」を挙げました。全体の56.0%より高い割合です。来日したあとも、宿泊先やその日の行き先の近くで、入れるお店を探し続けています。
このときに開かれるのが、Googleマップのような地図です。お店の情報はGoogleビジネスプロフィールで管理し、テラス席やWi-Fiの有無のような「属性」も入れられます。Googleの案内では、提携する予約サービスを通じて予約の機能を付けることも、独自の予約ページへのリンクを加えることもできます。地図の上で英語の説明と写真、営業時間と予約の方法がそろっていれば、英国の方はその場でお店を決められます。どこから直すかはGoogleビジネスプロフィールとホームページの記事に、予約サイトを足す順番はグルメサイトの記事に書いています。
比べるときに見られる、料理の中身と支払い方

英国政府の食品事業者向けの案内では、イングランド・ウェールズ・北アイルランドの飲食店は、包装されていない料理でも14品目のアレルゲン(グルテンを含む穀物・甲殻類・卵・乳・ナッツ・ごまなど)についてお客様に伝えることが求められています。料理の中身を尋ねれば答えが返ってくるのが英国の方の日常なので、日本のお店でもそれを確かめられるかが選ぶ材料になります。
メニューには料理名に加えて、主な材料と、肉・魚・乳・卵・小麦などを使っているかを英語で書いておきます。英国の14品目を目安に材料の一覧を持っておけば、聞かれても指で示して答えられます。書き方は多言語メニューの記事をご覧ください。
もう一つは支払いです。英国の金融業界団体UK Financeによると、2024年に英国で行われた支払いの64%がカードで、現金は初めて1割を下回りました。観光庁の調査でも、日本に着いてから「クレジットカードが使える店」の情報が役に立ったと答えた英国の方は29.3%で、全体の7.9%を大きく上回ります。カードが使えるなら、地図のお店の情報と入口に書いておくだけで、候補から外される理由が一つ減ります。
美容室やサロンは、何を見て予約するか

観光庁の調査に美容室だけの情報源の項目はなく、英国の方が日本の美容室探しに使う専用のサービスも、公的な資料では確かめられませんでした。ですから飲食店と同じく、地図と口コミで探し、英語で予約できるかを見て決めると考えて準備します。
知りたいのは、英語で相談できるか、税込みの料金と所要時間、カードで払えるかです。メニューと料金、所要時間、英語で予約できる窓口を地図と予約ページに同じ内容で載せておくと、来る前に「このお店で大丈夫」と判断してもらえます。国ごとの美容やリラクゼーションへの支出は、美容室やサロンのインバウンド需要の記事にまとめています。
受け入れていることが伝わっているかを確かめる手順

ここまでの準備ができているかは、英国の方と同じ道筋でお店を探してみると分かります。スマートフォンの表示言語を英語にして、Googleマップで「最寄り駅+料理の名前」を英語で検索します。お店が出てくるか、英語の説明と写真、メニュー、予約の方法が見られるかを確かめます。外国の方が実際に使う検索の言葉は、英語のキーワードの記事の方法で調べられます。
次にTripadvisorでお店を探し、情報が古くないか、英語の口コミに返信しているかを見ます。最後に、材料の英語の説明とカードの表示があるかを確かめます。どこかで英語の情報が途切れていたら、そこが、英国の方がお店を候補から外している場所です。
Point英国の方には、SNSで目立つより先に、口コミサイトと地図の上で中身と支払い方を英語で確かめられるお店になっておく。
地図とTripadvisorの情報を直すことや口コミへの返信、カードの表示は、お店で始められます。一方で、アレルゲンの英語の書き方や英語の予約ページづくり、英国の方がどこで離れているかの見極めは、外に頼むほうが早い部分です。
よくある質問
Q. イギリスの方向けに、特別な予約サイトに載せる必要はありますか
観光庁の調査で英国の方が多く挙げたのは、知人の話とガイドブック、口コミサイトなどでした。まずはGoogleマップのお店の情報とTripadvisorを整え、英語で予約できるページへつなぐところから始めれば十分です。
Q. イギリスの方は、SNSを見ていないのですか
見ています。出発前にSNSが役に立ったと答えた英国の方は33.2%で、3人に1人です。ただ、全体の43.3%より低く、知人の話や口コミサイトのほうが多く挙がっています。SNSだけに力を入れるより、口コミサイトと地図の情報を先に整えます。
Q. 英語でアレルギーの質問に答える自信がありません
料理ごとに、主な材料と、肉・魚・乳・卵・小麦などを使っているかを英語で書いた一覧を用意しておけば、会話が少なくても答えられます。英国の飲食店に求められている14品目のアレルゲンを目安にすると、書き漏れを減らせます。
まとめ
英国の方は、知人の話やガイドブックで行き先を決め、口コミサイトと地図でお店を探し、来日後も地図で近くのお店を確かめています。そこで英語の情報が見つからないお店は、外国の方を受け入れているかどうかも伝わらないまま、候補から外れてしまいます。Tripadvisorと地図の情報、材料の英語の説明、カードの表示、英語の予約窓口をそろえるところから始めます。
ご相談で迷われるのは、どこまで英語を整えるかというところです。私たちは、予約や会計の記録と地図での見え方を一緒に確かめ、英国の方がどこで離れているかを見つけてから直す順番を決めます。いまの情報で十分に選ばれているなら、そうお伝えします。
英国をはじめ、外国の方の集客でお困りのときは、インバウンド集客のご相談からお気軽にご連絡ください。支援の内容はインバウンド集客支援のページにまとめています。
この記事の監修者
出典
- 観光庁「訪日外国人の消費動向 インバウンド消費動向調査結果及び分析 2025年 年次報告書」(図表5-1・5-2、国籍・地域別の英国のページ[旅行形態・来訪回数・旅行情報ランキング]を使用。2026年10月1日取得)
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」(2026年9月16日発表。2026年10月1日取得)
- Tripadvisor「Tripadvisor for Business」(2026年10月1日取得)
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「サービス提供事業者経由で予約を設定する」(2026年10月1日取得)
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネスの属性を管理する」(2026年10月1日取得)
- Food Standards Agency「Allergen guidance for food businesses」(2026年7月17日更新。2026年10月1日取得)
- UK Finance「UK Payment Markets 2025(Summary)」(2026年10月1日取得)
- 写真:Studio Stock



