本文へ移動

インバウンド対策は今からでも間に合う?2030年6,000万人の目標と、早く始めたお店が有利な理由

インバウンド対策は今からでも間に合う?2030年6,000万人の目標と、早く始めたお店が有利な理由

インバウンド対策は、今から始めても十分に間に合います。国は2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人という目標を掲げていて、2025年の約4,268万人から、さらに伸ばしていく計画を立てています。ただ、口コミや検索で見つけてもらう入口は、始めた日から少しずつしか積み上がりません。始めるなら、早いほうが得をします。

この記事は、今から始めて遅くないかを迷っているお店の方に向けて書きました。国の目標と2026年の数字、早く始めたお店が有利になる理由、今年度の補助金、最初の1か月でやることを順にまとめています。

インバウンドは、2030年に向けてどこまで増えるのか

朝日の昇る淡い色の空を、一羽の鳥が横切って飛んでいる

2026年3月27日に、第5次の観光立国推進基本計画が閣議決定されました。2026年度から2030年度までの5年間の計画です。この計画で国は、2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円という目標を、2016年に立てた観光ビジョンから引き継いで掲げています。

2025年の実績は、旅行者数が約4,268万人、消費額が約9.5兆円でした。目標までは、人数でおよそ1.4倍、消費額でおよそ1.6倍の開きがあります。計画には、一人あたりの消費額を2025年の22.9万円から25万円に引き上げることや、リピーターの数を2,761万人から4,000万人に増やすことも書かれています。

このように国の計画は、インバウンドの方々をこれからも増やし、一人ひとりに使ってもらう金額も上げていく前提で組まれています。欧米やオーストラリア、中東からの旅行者を呼び込むことにも力を入れるとしています(準備の仕方は欧米やオーストラリアの観光客の記事へ)。

2026年に入ってからの数字の動き

光の差し込む空港の通路を、たくさんの人が行き交っている

日本政府観光局(JNTO)の推計では、2026年1月から8月までの訪日外客数は2,762万6,300人で、前年の同じ時期より2.7%少なくなっています。

国ごとに見ると、様子はだいぶ違います。中国からは290万4,600人で、前年より56.7%減りました。8月の発表では、中国政府から日本への渡航を避けるよう注意喚起があったことが書かれています。一方で、韓国からは742万300人で21.2%増、台湾からは540万2,000人で19.8%増です。中国を除いて計算すると、1月から8月の合計は前年より約14%増えています。8月だけでも、韓国や台湾、米国など14の市場で8月として過去最高を記録しました。

全体の数字が前年を下回っているのは、主に中国からの旅行者が減ったためで、ほかの多くの国や地域からは増え続けています。ただ、国ごとの割合は、外交や航空便の事情で急に変わることがあります。一つの国に頼りきらない準備が、これからはいっそう大切になります。見直し方は中国からのインバウンドが減ったお店の記事に、インバウンドの方々が何にお金を使っているかはインバウンドの需要の記事に書いています。

早く始めたお店が有利になる理由

インバウンドの準備には、すぐに整えられるものと、時間をかけないと積み上がらないものがあります。営業時間や写真の登録、外国語のメニュー、キャッシュレス決済は、決めてしまえば数日から数週間で整います。けれども、口コミの数や、検索やマップでの見つかりやすさは、お客様が一人ずつ来てくれることでしか増えていきません。

すぐに整えられるものとして営業時間・メニュー・写真の登録、外国語のメニュー、キャッシュレス決済、予約の受け方を、時間をかけて積み上がるものとして口コミの数、検索やマップでの見つかりやすさ、再来店や紹介、ウェブ上のお店の情報を左右に並べた図
図1 すぐに整えられるものと、時間をかけて積み上がるもの

Googleは、マップや地域の検索でお店が表示される順番について、関連性・距離・知名度の3つで決まると説明しています。知名度については、クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ローカル検索結果のランキングが高くなると書かれています。口コミは後からまとめて増やせるものではないので、先に始めたお店ほど、同じ通りのお店より先に見つけてもらえる状態に近づきます。口コミの頼み方は外国の方の口コミの記事にまとめました。

リピーターの多さも、早く始める理由になります。2025年の訪日外国人旅行者のうち、リピーターは2,761万人で、全体の6割を超えています。一度来てよかったお店には、次の旅行でもまた来てもらえます。AIにお店を尋ねられたときも、答えの材料はウェブ上にすでに出ている情報です(AIにお店を推薦してもらう記事)。

Point口コミと検索の入口は、始めた日から少しずつしか増えないので、始める時期の差があとまで残ります。

今年度の補助金と受付期間

窓から朝の光が差し込む、客のまばらな静かなカフェ

東京都内のお店なら、準備の費用に補助金を使える場合があります。東京観光財団の「インバウンド対応力強化支援事業補助金」は、募集期間が令和8年4月1日から令和9年3月31日までです。美容室やネイル・メイクのサロン向けの東京都「多様な体験型観光推進事業補助金」は、令和8年11月30日必着が申請の締切です。どちらも、申請額が予算額に達した時点で、締切の前でも受付が終わります。

もうひとつ気をつけたいのが、交付決定の前に発注したものは対象にならないことです。申請して交付決定を待ち、それから発注して納品まで進めるので、補助金を使うなら、締切の日から逆算して早めに動き出す必要があります。

国や東京都の制度の一覧はインバウンド対策の補助金・助成金をまとめた記事に、申請の順番は東京のインバウンド補助金の記事にまとめています。

最初の1か月でやること

始めると決めたら、最初の1か月は、お金をかける前に、見つけてもらう入口と口コミが集まる流れを整えることに使います。この2つは、すぐにお金がかからないうえに、積み上がるまでに時間がかかるものだからです。

1週目に今の状態を確かめる、2週目に見つけてもらう入口を整える、3週目に口コミが集まる流れをつくる、4週目に次にお金をかける先を決める、の4段階を順に並べた図
図2 最初の1か月でやること

1週目は、どの国の方がどれくらい来ているかを、予約や会計の記録から数えます。調べ方はインバウンドのお客様の国を調べる記事に書きました。2週目は、Googleのビジネスプロフィールに英語の情報と写真を入れます。ビジネスプロフィールは無料で作成・掲載できるので、ここはお金をかけずに進められます。

3週目は、会計のときに外国語で一言添えて口コミを頼む流れをつくります。4週目に、使える補助金を確かめたうえで、メニューの多言語化や外国語ページのようにお金をかける先を1つ決めます。

急いでやらなくていいこと

窓からの光が差し込む階段の脇に、観葉植物の鉢が並んでいる

早く始めたほうがいいといっても、一度に全部をそろえる必要はありません。たとえば、英語・中国語・韓国語のページを最初から全部作る必要はなく、来ている国の言語から順に用意すれば足ります。口コミがほとんどない段階で大きな広告費をかけても、見に来た方がお店を選ぶ決め手がないので、効果は出にくくなります。

一つの国のお客様が急に増えても、その国だけに向けて作り込むのは慎重に考えたいところです。国ごとの数字は短い期間で大きく変わることがあります。費用のかけ方はインバウンド集客の費用の記事にまとめています。

よくある質問

Q. 2030年を過ぎたら、インバウンドは減りますか

観光立国推進基本計画は2030年度までの計画で、その先の数字はまだ決まっていません。ただ、口コミや検索での見つかりやすさは、一度積み上がれば目標の年を過ぎても残ります。

Q. 中国からのお客様が減っている今、始めても意味はありますか

あります。日本政府観光局の推計では、2026年1月から8月の訪日外客数は、中国を除いて計算すると前年より約14%増えています。韓国や台湾、欧米など、中国以外の国や地域からのお客様に見つけてもらう準備は、今からでも効果が出ます。

Q. 東京以外のお店でも、今から始める意味はありますか

あります。観光立国推進基本計画は、三大都市圏以外の地方部でのインバウンドの方々の延べ宿泊者数を、2025年の5,873万人泊から2030年に1億3,000万人泊へ増やす目標を掲げています。補助金は地域ごとに違うので、お住まいの都道府県や市区町村の制度もあわせて確かめてください。

Q. 最初の1か月で、お金はどのくらいかかりますか

記事で書いた最初の1か月の内容は、ほとんどお金をかけずに進められます。Googleのビジネスプロフィールは無料で作成・掲載でき、口コミを頼む流れもお店の中で整えられます。お金をかけるのは、1か月たってつまずいている場面が分かってからで間に合います。

まとめ

インバウンド対策は、今から始めても間に合います。そして、口コミと検索の入口が積み上がる時間を考えると、始めるのは早いほうが有利です。国は2030年に6,000万人・15兆円という目標を据え置き、中国以外の国や地域からのお客様は2026年も増え続けています。

ご相談を受けていて迷われることが多いのは、始めるかどうかよりも、最初の1か月で何を先にやり、何を後回しにするかのほうです。来ている国や予約・会計の記録を一緒に見ながら、今やることと、まだやらなくていいことを分けて決めていきます。お店の状況によっては、今は大きく動かず、入口だけ整えておけば十分という結論になることもあります。

何から始めるかを相談したいときは、インバウンド集客のご相談からご連絡ください。支援の内容はインバウンド集客支援のページにまとめています。

この記事の監修者

瀬川将也

瀬川将也(合同会社ライトハウス 代表)

マーケティング歴10年。マーケティングと制作を手がける会社を含む2社で役員を務め、現在は観光系NPO法人の理事も務めています。上場企業の売上につながるお問い合わせ獲得をゴールとした広告運用・SEO、新規事業の商品の販売戦略構築、飲食店フランチャイズの出店拡大など、大きめの会社から小さなお店まで幅広く支援してきました。

出典

  1. 観光立国推進閣僚会議「観光立国推進基本計画」(令和8年3月27日閣議決定)(2026年9月30日取得)
  2. 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」(2026年9月16日発表、2026年9月30日取得)
  3. Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善する方法」(2026年9月30日取得)
  4. Google ビジネス プロフィール(Google ビジネス)「Google のビジネス プロフィールは無料ですか?」(2026年9月30日取得)
  5. 公益財団法人東京観光財団「インバウンド対応力強化支援事業補助金」(2026年9月30日取得)
  6. 東京都産業労働局「多様な体験型観光推進事業補助金」(2026年9月30日取得)
  7. 写真:Studio Stock
コラム一覧へ 無料診断を受ける

ご相談

何から手をつけるべきか、一緒に整理します。

何を相談すればよいか分からない段階でも構いません。今の状況と目標を伺い、成果を止めている原因と、改善の選択肢を整理します。

30〜60分オンライン・対面どちらも可2営業日以内にご連絡

無料診断を申し込む