
中国からのインバウンドの方々が、1年前の半分以下になっています。2026年1〜8月の訪日外客数は、中国からが前年同期比56.7%減でした。ただ、お店がどれだけ影響を受けるかは、外国のお客様のうち中国からの方がどれくらいを占めていたかで大きく変わります。
この記事では、減った背景を確かめたうえで、お店のお客様の偏りを数字で見る方法と、2番手・3番手の国に目を向けるときの進め方を書きます。数字は、日本政府観光局(JNTO)の2026年8月推計値に合わせて9月に新しくしました。
中国からのお客様が半分以下に減った背景

2026年8月の中国からの訪日外客数は41万8,000人で、前年同月比59.0%減でした。1〜8月の累計でも290万4,600人、前年同期比56.7%減です。いずれもJNTOが2026年9月16日に公表した推計値です。JNTOの資料は、減った理由として「中国政府より日本への渡航を避けるよう注意喚起があった」ことと、航空便の減便を挙げています。
お店の努力とは関係のないところで起きた減少です。その一方で、韓国や台湾からの方は増えていて、インバウンド全体で見ると減り方は小さく収まっています。
| 市場 | 2026年1〜8月(推計値) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 韓国 | 742万300人 | 21.2%増 |
| 台湾 | 540万2,000人 | 19.8%増 |
| 香港 | 181万8,300人 | 8.7%増 |
| 中国 | 290万4,600人 | 56.7%減 |
| 総数 | 2,762万6,300人 | 2.7%減 |
前年の1〜8月は、訪日外客数のおよそ4人に1人(23.6%)が中国からの方でした。2026年の同じ期間では10.5%です。中国からのお客様に合わせて準備を重ねてきたお店ほど、この変化をまともに受けていることになります。
同じ56.7%減でも、お店ごとに影響が違う理由

全国の数字が、そのままお店の数字になるわけではありません。効いてくるのは、外国のお客様のうち中国からの方がどれだけを占めていたかです。
たとえば外国のお客様の6割が中国からの方だったお店で、その人数が全国と同じく56.7%減ったとします。外国のお客様全体では、約34%減る計算です。中国からの方が1割のお店なら、同じ減り方でも全体の減少は約6%で済みます。
| 中国からの方の割合 | 外国のお客様全体の減り方(中国からの方が56.7%減った場合) |
|---|---|
| 10% | 約6%減 |
| 30% | 約17%減 |
| 50% | 約28%減 |
| 70% | 約40%減 |
| 計算のしかた | 中国からの方の割合 × 56.7% |
この計算は、ほかの国のお客様の数が変わらないと仮定しています。実際には、お店の場所や業態によって中国からの方の減り方も違うでしょう。それでも、割合が大きいお店ほど影響が大きいことに変わりはありません。
渡航の注意喚起や航空便の減便は、お店の売上をいくら見ていても予想できません。起きた翌月から、そのまま数字に出てきます。
いちばん多い国の割合で見る、お客様の偏り
備えを考える前に、外国のお客様がどの国にどれだけ偏っているかを数字にしておきます。見るのは、いちばん多い国のお客様が全体の何割か、という数字だけで十分です。
予約や決済の記録で、直近3か月の外国のお客様を国別に数えるのがいちばん確実です。記録が無い場合の調べ方は、お店に来ている国の調べ方にまとめています。
| 上位1か国の割合 | 偏りの度合い | その国が半分になったとき | やること |
|---|---|---|---|
| 30%未満 | 分かれている | 外国のお客様の15%未満が減る | いまの対応を続け、3か月ごとに割合を見直す |
| 30〜50% | やや偏っている | 15〜25%が減る | 2番手の国に向けて、Googleマップの情報と口コミへの返信を用意する |
| 50%以上 | 大きく偏っている | 25%以上が減る | 2番手・3番手の国への準備を、いまから始める |
この目安は、いちばん多い国のお客様が半分になったとき、外国のお客様全体がどれだけ減るかをもとに決めています。割合が50%を超えるお店では、4人に1人以上が一度にいなくなる計算です。目安の数字そのものに絶対の根拠はありませんが、数字にしてみないと、偏っていることにはなかなか気づけません。
2番手・3番手の国にも見つけてもらう準備

偏りが分かったら、2番手・3番手の国のお客様にもお店を見つけてもらえるようにしていきます。いきなり全部の言語に対応する必要はなく、費用のかからないものから手をつければ十分です。
最初はGoogleマップのお店の情報です。営業時間やメニュー、支払い方法を、その国の方が読める言葉で書いておきます。写真を増やすだけでも、選ばれやすさは変わります。
その国の言葉で付いた口コミには、返信もしておきます。返信の決め方は口コミ返信の記事で書きました。
あわせて、中国からのお客様に頼っていたものを書き出しておくと役に立ちます。中国のSNSでの発信や、中国向けの旅行会社との取引など、中国からのお客様が減ると同時に効かなくなるものです。やめるためではなく、どこに頼っているかを知っておくための作業です。
準備する国は、お店の周りで実際に増えている国から選びます。全国では2026年8月に、韓国・台湾・香港など14の市場が8月として過去最高になりました。とはいえ、全国で増えている国の方がお店の前を通るとは限りません。予約や口コミに出てくる国を優先してください。
偏ったまま続けると決めるのも、一つの判断です。人手が限られていれば、狙いを絞ったほうが成果は出やすいこともあります。その場合は、見直すきっかけを先に決めておきます。たとえば「その国からのお客様が2か月続けて前年の7割を下回ったら、2番手の国の準備を始める」と決めておけば、慌てずに次の手を打てます。
Point偏ったまま続けるなら、見直すきっかけを先に決めておきます。
慌ててやらなくていいこと

中国からのお客様が減ったと聞いて、急いで全部の言語に対応するのはおすすめしません。言語を増やすほど、メニューや営業時間を変えるたびの手間が増え、やがて更新が止まります。古い情報が残った外国語のページは、書かれた営業時間や値段を信じて来たお客様をがっかりさせ、低い評価につながります。
中国からのお客様のために用意したものを、急いで外す必要もありません。中国語のメニューは、置いておくだけなら手間はかかりません。外す作業に時間を使うより、2番手・3番手の国の準備に回したほうが得です。
中国からのお客様が戻る時期を予想して、それに合わせて動くのもやめておきましょう。戻る時期は、お店の側では決められません。いまの割合と見直すきっかけを決めておくほうが、確実に動けます。
よくある質問
Q. 中国からのお客様は、いつ戻ってきますか
戻る時期は、お店の側では分かりません。JNTOの資料は、減った理由として中国政府による渡航の注意喚起と航空便の減便を挙げています。時期を予想するより、いまの割合を出して、見直すきっかけを決めておきましょう。
Q. 中国語のメニューや案内は外したほうがいいですか
外す必要はありません。置いておくだけなら手間はかかりません。時間は、2番手・3番手の国のお客様に見つけてもらう準備に使いましょう。
Q. 国別のお客様の数が分かりません。何から調べればいいですか
予約や決済の記録で、直近3か月の外国のお客様を国別に数えるのがいちばん確実です。記録が無ければ、Googleビジネスプロフィールの分析画面で、検索に使われた言葉を確かめます。
Q. 1つの国に絞って集客するのは間違いですか
間違いではありません。人手が限られていれば、絞ったほうが成果は出やすくなります。偏っていると分かったうえで選んでいるかどうかが大事です。見直すきっかけを決めておけば、変化が起きても次の手を打てます。
まとめ
中国からの訪日外客数は、2026年1〜8月で前年同期比56.7%減でした。お店への影響は、外国のお客様のうち中国からの方が占める割合で決まります。いちばん多い国の割合を出し、50%を超えているなら、2番手・3番手の国の準備を始めてください。
ご相談で難しいのは、計算よりも、どこまで続けてどこから広げるかを決めるところです。長く中国からのお客様を迎えてきたお店ほど、よく覚えているお客様の姿が、実際の割合より大きく見えがちです。記録の数字を一緒に並べ、どの国にどこまで手をかけるかを決めるのが、私たちのお手伝いできるところです。数字を見たうえで、いまの偏りのまま続けてよいとお伝えすることもあります。
国別の数字をどう出せばいいか、という段階からでも、インバウンド集客のご相談でお話を伺います。支援の内容はインバウンド集客支援にまとめています。
この記事の監修者
出典
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」(2026年9月16日公表、2026年9月27日取得)。市場別の数値は同報道発表資料PDF(20260916_1615.pdf)3ページの表、中国の減少理由は5ページの記述による。2026年の数値は推計値、2025年の数値は確定値
- 写真:Studio Stock



