
小売店や土産物店のインバウンド集客は、商品をそろえる前に、外国の方が棚の前で「何の商品か、持って帰れるか、いくらか」を自分で分かる状態にするところから始めると、買ってもらいやすくなります。
この記事では、観光庁の訪日外国人消費動向調査の数字をもとに、外国の方が何をどれくらい買っているかを確かめます。そのうえで、お店で困らせない準備と商品の説明の書き方、11月1日から変わる免税と支払いの準備まで順にまとめました。
インバウンドの方々は、買い物にいくら使っているのか

観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円でした。このうち買物代は2兆5,541億円で、全体の27.0%を占めます。旅行中に使うお金の4分の1以上は、買い物に使われています。
1人あたりで見ると、買物代は6万1千円で、宿泊費(8万4千円)に次いで2番目に大きい費目です。国・地域別では、シンガポールが10万1千円、中国が9万1千円と高く、台湾・香港・タイ・米国も6万円台でした。どの国の方も、旅行中にまとまったお金を買い物に使っています。旅行中のお金の使われ方の全体はインバウンドの需要の記事にまとめています。
よく買われている商品と、満足した理由
同じ調査の2025年の年次報告書では、費目ごとに「その商品を買った人の割合」が出ています。
| 費目 | 買った人の割合 | 買った人1人あたりの金額 |
|---|---|---|
| 菓子類 | 72.7% | 11,127円 |
| 衣類 | 47.9% | 27,160円 |
| その他食料品・飲料・たばこ | 41.7% | 11,078円 |
| 化粧品・香水 | 34.6% | 21,128円 |
| 医薬品 | 27.0% | 11,882円 |
| 靴・かばん・革製品 | 24.5% | 38,311円 |
| 酒類 | 22.0% | 11,462円 |
| 民芸品・伝統工芸品 | 8.3% | 13,692円 |
いちばん多くの方が買っているのは菓子類で、7割を超えます。韓国・台湾・香港・中国の方では菓子類が、米国の方では衣類がいちばん多く買われていました。民芸品・伝統工芸品は、全体では8.3%ですが、米国の方では19.0%と高くなっています。
いちばん満足した商品を選んだ理由も見てみます。菓子類では「美味しい」が80.3%、「お土産に良い」が30.7%でした。化粧品・香水では「品質が良い」が62.4%、医薬品では70.2%です。民芸品・伝統工芸品では「伝統的・日本独特である」が54.0%、「デザインが良い・かわいい」が49.7%でした。味や品質、日本らしさといった、商品そのものの良さが選ばれる理由になっています。
小売店で、外国の方が困っていること

観光庁の令和7年度の受入環境整備に関するアンケートでは、旅行中に困ったことと、その場所を聞いています。スタッフとのコミュニケーションに困った人のうち、ドラッグストアやコンビニ、土産物店などの「その他小売店」で困った人は22%でした。多言語表示の少なさ・分かりにくさでは20%、クレジットカードの利用では17%が、その他小売店を挙げています。
商品の良さは伝わっていても、棚の前で何の商品か分からない、店員さんに聞けない、カードが使えないという場面で、買うのをやめてしまうことがあります。言葉が通じなくても困らせない接客のしかたは言葉だけに頼れない接客の記事にまとめています。
商品の説明に書いておくこと
外国の方が棚の前で知りたいのは、商品の名前より先に、それが何で、どう使うかです。お菓子なら「そのまま食べるのか、温めるのか」、調味料なら「何にかけるのか」が分からないと、手に取ってもらえません。
お土産として持って帰る方が多いので、日持ちや要冷蔵か、割れ物かも大事な判断の材料になります。食べ物なら、肉やアルコールなど気にされる原材料も書いておきます。値段は税込みの総額で、まとめ買いの値段もあると選びやすくなります。
Point商品を増やすより先に、今ある売れ筋に「何の商品か・持って帰れるか・いくらか」を外国語で書き足すほうが売上につながります。
すべての商品に書く必要はありません。売れ筋の上位から、外国の方がよく手に取る商品の順に書き足していきます。訳し方の考え方は多言語メニューの記事も参考になります。
11月1日からの免税と、支払いの準備

免税店は、2026年11月1日の販売分からリファンド方式に変わります。お店は税込みの価格で売り、旅行者が出国するときに税関で持ち出しが確認されたあとに、消費税相当額を返金する仕組みです。観光庁は、免税店に対して、まず利用中の承認送受信事業者に連絡するよう案内しています。免税を続けるか、やめるかは、免税の売上がどのくらいあるかで決めます。判断の目安は免税のリファンド方式の記事にまとめています。
支払いでは、先ほどのアンケートのとおり、カードが使えずに困る方がいます。クレジットカードのタッチ決済と、国によってはスマホのQRコード決済に対応しておくと、買うのをやめられる場面を減らせます。決済の選び方はキャッシュレス決済の記事をご覧ください。東京都内の小売店なら、東京観光財団の「インバウンド対応力強化支援事業補助金」で、キャッシュレス決済の機器や多言語化の費用に補助を受けられる場合があります。
自分で進めるところと、外に頼むと早いところ

どの商品が外国の方によく売れているか、その商品が何でどう使うかは、お店の方がいちばんよく分かっています。売れ筋の確認と、日本語での説明づくりまでは、自分たちで進められます。
一方で、説明が外国語で自然に伝わるかの確認や、店の外で見つけてもらうためのGoogleマップや外国語のページの整え方は、外に頼んだほうが早いことが多い部分です。お店全体のどこが足りないかを先に確かめたいときは、インバウンド対策のチェックリストから始めてみてください。宿泊施設も営んでいる場合は、宿泊施設のインバウンド集客の記事も参考になります。
よくある質問
Q. 外国の方向けに、新しい商品を仕入れたほうがいいですか
先に今ある商品の説明を整えるのがおすすめです。観光庁の調査では、菓子類を買った人が72.7%と最も多く、満足した理由も「美味しい」「品質が良い」など商品そのものの良さでした。今ある売れ筋が何の商品か伝わるようにするほうが、早く売上につながります。
Q. 免税店をやめても、外国の方は買いに来てくれますか
来てくれます。観光庁の調査では、滞在中に免税の手続きをした人は全体の57.5%で、残りの方は手続きをしていません。免税を続けるかどうかは、お店の免税の売上の割合を見て決めます。
Q. 商品の説明は、何語で書けばいいですか
まず英語で書き、お店に多く来ている国の言葉を足していきます。どの国の方が多いかは、レジや免税の記録から数えるのが確かです。
まとめ
小売店や土産物店のインバウンド集客は、外国の方が棚の前で何の商品か、持って帰れるか、いくらかを自分で分かる状態にするところから始まります。売れ筋から外国語の説明を書き足し、支払いと免税の準備をそろえると、買うのをやめられる場面を減らせます。
ご相談を受けていて迷われることが多いのは、どの商品から説明を書き足し、何語まで用意するかの決め方です。私たちはレジや免税の記録を一緒に見ながら、外国の方によく売れている商品と、優先して整える言語を決めていきます。今のままで十分に売れている商品は、無理に手を加えなくていいとお伝えすることもあります。
お店の外国のお客様を増やしたいときは、インバウンド集客のご相談からご連絡ください。支援の内容はインバウンド集客支援のページに、今の状況を整理したいときは無料診断もご利用いただけます。
この記事の監修者
出典
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年の調査結果(確報)の概要」、「インバウンド消費動向調査結果及び分析 2025年 年次報告書」(図表3-1・3-5・4-3を使用。2026年10月9日取得)
- 観光庁「令和7年度 訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」(2026年10月9日取得)
- 観光庁 消費税免税店サイト「リファンド方式について」(2026年10月9日取得)
- 公益財団法人東京観光財団「インバウンド対応力強化支援事業補助金」(2026年10月9日取得)
- 商品のPOPに書いておくことと英語の例、自分で進めるところ・外に頼むところの分け方は、ライトハウスの支援の中で使っている実務上の整理です
- 写真:Studio Stock



