
SNSを始め、広告を出し、ホームページも直したのに、売上がほとんど変わらない。私たちがいちばん多く受けるのが、このご相談です。やることを増やしても結果が出ないとき、たいていは手を入れている場所と、売上を止めている原因の場所がずれています。
次に何を足すかを考える前に、原因がどこにあるかを確かめるほうが、お金も時間も無駄にしません。お客様が商品を知ってからもう一度利用するまでの流れを段階に分け、どこでつまずいているかを見つける手順をまとめました。
取り組みを増やしても売上が変わらない理由

たとえば、予約フォームが分かりにくく、見に来た人の多くが途中でやめている会社があるとします。そこで広告を増やしても、増えるのは途中でやめる人の数です。反対に、価格がお客様の予算に合っていなければ、フォームをいくら分かりやすくしても申し込みは増えません。
どちらも、努力が足りないせいではありません。原因のない場所に手を入れているので、結果が動かないのです。手を打つ前に原因の場所を確かめておけば、使うお金と時間の多くを無駄にせずに済みます。
Point取り組みを足す前に、売上を止めている原因の場所を確かめます。
売上が止まる場所の見分け方
お客様が商品を知って比べ、申し込み、もう一度利用するまでの流れを、売る側から4つの段階に分けてみます。商品設計と集客方法の選び方、伝え方と出し方、そして提供とリピートです。売上を止めている原因は、このどこかにあります。
| 段階 | どういう状態か | 表れやすいサイン |
|---|---|---|
| 商品設計 | 中身や価格が、狙うお客様の困りごとや予算に合っていない | 価格や見積もりを見た段階で断られる。値引きしないと決まらない |
| 集客方法の選び方 | 狙うお客様がいない場所で発信している | 閲覧は増えても、問い合わせてくる人が狙ったお客様と違う |
| 伝え方と出し方 | 届いてはいるが、選ぶ理由や申し込み方が伝わっていない | ページは見られているのに、問い合わせや予約が少ない |
| 提供とリピート | 一度は利用されるが、次の利用や紹介につながらない | 新しいお客様を集め続けないと、売上が保てない |
同じ「問い合わせが少ない」でも、原因が伝え方にあるのか、狙う相手がいない場所で発信しているのかで、打つ手はまったく変わります。段階を見分けないまま取り組みを足していくと、原因のない場所にお金を使い続けることになります。
売上に近い段階から確かめる手順

どこでつまずいているかは、売上に近い提供とリピートから、商品設計へと順に確かめると早く分かります。売上に近い段階ほど、顧客台帳や予約の記録など、手元にある数字で確かめられるからです。
まず提供とリピートです。過去1年に利用したお客様のうち、2回以上利用した人がどれくらいいるかを、顧客台帳や予約の記録から数えます。紹介で来たお客様がいるかも見ておきます。
次に伝え方と出し方を見ます。ページを見た人や店の前を通った人のうち、問い合わせや予約をした人の割合です。Webサイトなら、問い合わせの送信や予約の完了をGoogleアナリティクスの「キーイベント」として設定しておくと、この割合を毎月出せます。Googleアナリティクスの説明では、キーイベントは「ビジネスにとって重要なアクション」を測るためのものとされています(アナリティクス ヘルプ)。
集客方法の選び方は、直近20件ほどの問い合わせや来店を業種・規模・地域・年代などで並べ、狙っていたお客様と合っているかで確かめます。最後の商品設計は、商談や見積もりで断られた理由が価格なのか、中身なのか、時期なのかを見ます。理由を残していなければ、次の10件から記録を始めてください。
商品設計のように、数字だけでは判断しにくい段階もあります。そのときは競合を3社ほど並べ、お客様の立場で中身と価格を見比べます。すべての段階の数字がそろうまで待つ必要はありません。明らかに落ちている場所が1つ見つかれば、次に進めます。
原因の段階ごとの最初の一手

原因の段階が分かったら、最初の一手はその段階の中から1つだけ選びます。あわせて、いまは手を付けなくてよいことも決めておくと、社内で迷いが出ません。
| つまずいている段階 | 最初にやること | 後回しにしてよいこと |
|---|---|---|
| 提供とリピート | 利用後の連絡、次回の案内、説明の手順をそろえる | 新しいお客様向けの広告やSNS |
| 伝え方と出し方 | 選ぶ理由をページの最初に書き、予約や問い合わせの手順を減らす | 新しい集客経路を増やすこと |
| 集客方法の選び方 | 狙うお客様が情報を集めている場所を調べ、発信する場所を1つに絞る | サイトのデザインの作り直し |
| 商品設計 | 狙うお客様、価格、中身の組み合わせを見直す | 集客を増やす取り組み全般 |
この表は目安で、どの会社にも当てはまるとは限りません。ただ、同時に2つ以上を変えると、成果が出ても何が効いたのか分からなくなります。1つずつ変えていけば、効かなかったときにも次に何を試すかがはっきりします。
ラーメン店の支援では、2〜3店舗から14店舗へ店が増えていく時期に関わりました。このとき手を入れたのは新しい集客手段ではなく、どの店でも同じ質でメニューや告知を出せる仕組みでした。店ごとに一から作っていては、出店の速さに発信が追いつかなかったからです。提供の段階で口コミへの返信をそろえるやり方は、口コミ返信の記事に書いています。
業者やAIの提案を受けたときの確かめ方

広告会社は広告を、制作会社はホームページの作り直しを勧めるように、提案はそれぞれの得意分野から出てきます。AIに聞けば、実行の手順まで示してくれます。どれも間違いとは言えませんが、その会社がどの段階でつまずいているかまでは分かっていません。
ですから提案を受けたら、まずそれがどの段階を良くするためのものかを確かめます。次に、その段階がいまのつまずきの原因だと言える数字や記録があるかを聞きます。そして、効いたかどうかをいつ、どの数字で判断するかを決めます。
最後の判断の日と数字が決まらない提案は、始めたあとで続けるかやめるかを決められません。何をやるかを選ぶ前に整理しておきたい商品・強み・競合・お客様・予算のことは、マーケティング支援のページにまとめています。
やらなくていいこと

流行っている集客方法を、流行っているという理由だけで始める必要はありません。自分たちのお客様がそこにいるかを確かめてからでも遅くはありません。競合がやっていることを全部まねる必要もありません。競合と自分たちが同じ段階でつまずいているとは限らないからです。
数字を完璧にそろえてから動こうとしなくても大丈夫です。明らかに落ちている場所が1つ見つかれば、手を打てます。その代わり、取り組みを始めるときは、判断する日と見る数字を先に決めておいてください。決めずに続けると、やめどきが分からなくなります。
よくある質問
Q. 集客の取り組みの効果は、どのくらいの期間で判断すればいいですか
取り組みの種類によって違うので、始める前に「いつ、どの数字で判断するか」を決めておきます。問い合わせの数など月ごとに比べられる数字を1つ選び、少なくとも2〜3か月は同じ条件で見てから判断してください。
Q. 数字をほとんど取っていない場合は、どうすればいいですか
顧客台帳や予約の記録、問い合わせのメールなど、手元にある記録から数え始めます。Webサイトがあれば、問い合わせの送信をGoogleアナリティクスのキーイベントとして設定しておくと、次の月から申し込みの割合が分かります。
Q. 原因が2つ以上の段階にありそうなときは、どちらから手を付けますか
売上に近い段階から手を付けます。提供とリピート、伝え方と出し方のほうが、少ない費用で早く結果が出やすいからです。ただし価格が明らかにお客様の予算と合っていない場合は、商品設計を先に見直します。
Q. 広告は、やめたほうがいいのですか
つまずいている段階に効く広告なら、続けて構いません。その広告がどの段階のための取り組みなのかを確かめてから、続けるかどうかを判断してください。
まとめ
集客の効果が出ないときは、取り組みを足す前に、売上を止めている原因がどの段階にあるかを、売上に近いほうから確かめてください。手を打つ場所を1か所に絞れば、効いたかどうかも分かるようになります。
ご相談を受けていて難しいと感じるのは、手順そのものより、社内の人が自分たちのつまずきを認めることのほうです。売る側から見ると価格は妥当に見えますし、毎日見ているページは分かりやすく見えます。部署ごとに原因の見立てが違って、話が前に進まないこともあります。私たちは外から数字と記録を一緒に見て、どこを原因として手を打つかを決めるところをお手伝いしています。いまの取り組みのままで問題ないと判断すれば、そうお伝えします。
原因の場所を一緒に確かめるところからなら、無料診断でご相談いただけます。マーケティングの支援内容はマーケティング支援のページにまとめています。
この記事の監修者
出典
- Google アナリティクス ヘルプ「イベントにキーイベントとしてマークを付ける」(2026年9月27日取得)
- 写真:Studio Stock



